二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 星のカービィ 幻想の魔筆  参照200突破!   ( No.88 )
日時: 2011/05/23 20:48
名前: 満月の瞳 ◆zkm/uTCmMs (ID: A2bmpvWQ)

第四楽章 招待の即興曲アンプロンプチュ


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「の…のうぉぉぉぉ!?うわああああぁぁぁ…」

ガラガラガラ!!と、盛大な音が、僕ちんの体も僕ちんの悲鳴も押し潰される。

残ったのは、その場の惨状と土煙だ。

「痛いなぁ…もう!」

体中に伸し掛かる物を、乱絶にどけて、その場から這い出る。
また痣だらけだ。

「また失敗…」

本当に自分は魔女なのだろうか。
魔女としての才能はあるのだろうか。
実力もないし、知識もない。
失敗ばかりで、成功例などない。
ちゃんとした魔法も使えない。
できると言えば、箒に乗って空を飛ぶだけだ。
それだって簡単な初歩魔法だ。

どうしてだろう。
どうして自分は…

どうして…—————




『どうしてお前はそんなに駄目なんだ!このグズ!』

『失敗ばかりで!ろくに何もできないじゃない!』

『馬鹿なくせに口だけは達者で!』

『言い訳だけはうまいな!』

『卑怯者!』

『お前それでも本当に魔女なのか!?』



『お前なんていらないんだよ!!』








あ!
ダメダメ!
思い出しちゃダメだ!
また気持ちが暗くなっちゃう!
…まぁ、もとから暗かったけどね。
でもダメダメ。
気分は明るく。
ポジティブで!
元気に!

…大丈夫。
僕ちんはもう、〝あそこ〟にはいない。
〝あそこ〟みたいな地獄には、いない。
大丈夫だ。
僕ちんはもう、平気だ。
大丈夫大丈夫。
落ち着いて落ち着いて。
大丈夫。
失敗したってまた練習すれば、きっといつか実を結ぶ。
だから大丈夫。
努力すればなんとかなる。
平気平気。
がんばろう。
めげてる僕ちんは僕ちんらしくないな。

…でも



本当に…大丈夫…かな…







「グリル!どうしたの!?すごい物音がしたけど!」

屋敷からドロシアが、すごく焦って出てきた。
ここは裏庭。
表の庭とは違って、木々が集まって森のようになっている場所。
僕ちんはそこで魔法の練習をしていた。

「大丈夫!?………あら?」

ドロシア驚いている。
それはそうだろう。
僕ちんの魔法を初めて見たのだから。

大小様々な大きさのブロックが、座っている僕ちんの周りに数えきれないほど転がっているのだから。

「箱…?」

随分不思議そうなドロシア。

僕ちんは、このヘンテコな箱を出す魔法しか、飛行魔法以外には使えない。
とてもおかしい滑稽な魔法だ。
しかも、ちゃんと操れず、ただ墜落させることしかできない。
少しでも浮遊させることができたらいいのに…。
今まで、数えきれないほどたくさんの人間に、〝おかしい魔法〟と笑われてきた。

ドロシアも同じように笑うのだろうか。

それとも…。