二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 星のカービィ 幻想の魔筆 参照200突破! ( No.91 )
- 日時: 2011/05/23 20:48
- 名前: 満月の瞳 ◆zkm/uTCmMs (ID: A2bmpvWQ)
ドロシアは、僕ちんが見てもわかるくらい強い魔女。
僕ちんもドロシアみたに強くなりたい。
だけど…。
ドロシアの言葉に、僕ちんは呆気を取られるしかなかった。
「すごい!すごいわ!グリル!」
「ふぇ!?」
今、何て言った?
『すごい』って言った?
言いました?
え?
『すごい』?
ええ?
これが!?
「すごいわグリル!こんなにかわいらしい箱をこんなにたくさん召喚できるなんて!」
「か、かわいい!?」
僕ちんが出す箱は、よくもまあわからない鳥?や獣?や星模様の箱。
…かわいいとは言えなくもないけどさ…。
「こんなにたくさんよ!すごいすごい!」
「で…でも…こんなの…魔法とは言えないよ…」
「どうして?」
美しい月色の瞳で、本当に純粋に、不思議そうに僕ちんを覗きこんでくるドロシア。
うう、そんな目で見られたら、僕ちんまいっちゃうじゃないか!綺麗すぎて!
「だって…浮遊魔法も使えないから…ただ土砂崩れみたいに箱が墜落するしかないし…そもそもこの箱を出す魔法しか、飛行魔法のほかには使えないし…」
しょんぼりした僕ちんを、ドロシアが「とんでもないわ!」と励ます。
「そもそもこんなに箱を召喚できることがすごいわ!」
「…召喚っていうか…箱を出す数だけは…自信があるけど…」
「召喚物を一気に出すなんて並大抵のことじゃあないわ。これはすばらしいことよ。グリル」
「そうかな…でも、僕ちん—————」
こんな使えないものを出すな。
って…言われ続けてきたのに?
「いい?グリル。魔法というのはね、それぞれの個性でできているの」
「個性?」
「たとえばグリルは箱を出す力を、私は描いたものを実体化させる力を
、それぞれに持っているの。似たような力を持つ者がいても、それは瓜二つには決してならないわ。どんな力も術者の個性に満ちた、素晴らしい能力なの」
ドロシアは優しく笑みをつくる。
悲しい気持ちも、嫌なこと全てが癒されていく感じ。
これも、ドロシアの魔法なのだろうか?
「だけどね、魔法は誰もが上手になって強くなれるというわけではないの、残念だけどね。でもね、それであきらめちゃ駄目よ。私はね、魔法だけでなくこの世の全てにおいて必要なものは、努力だと思うの」
「努力…」
「努力をして、練習して実力を身につけるの。それでも強くなれないかもしれない。でもねグリル。目指しているものが100だとして、努力
して100を目指すけど、100にはとどかないかもしれない。でも、
その実力や強さが0のままなんてことはありえないでしょ?」
「…」
「10かもしれないし20かもしれない、30かもしれないし40かもしれない、50かもしれないし60かもしれないし、70かもしれないし80かもしれない、90かもしれない…。100にはなれなくても、ちゃんと努力した跡は、しっかりと残るの」
僕ちんの体中にできた紫色の痛々しい痣。
いつものことだからもうなれている。
だけど、やっぱり痛い。
ドロシアはそっと、僕ちんの傷に手を優しくゆっくりとあてる。
「この痣は、グリルの努力によって生まれたものよ…。グリルは今までたくさん努力をしてきたのね。100にとどくかどうかはわからない…
だけど、それでもあきらめないで。少しずつでも、ゆっくりでも、歩むことを忘れないで…本当にもうつらくて限界ならば私は何も言わない…
でも、グリルはまだまだあきらめていないでしょ…?」
「…うん」
「なら大丈夫。今できなくても、努力すれば、きっといつかできるわ…
達成困難であろうと…大切なのは努力することだからね」
体の怪我の手当てをしましょう。
と、ドロシアはどこからともなく紙を出して、魔法の絵筆で描いた治療道具で僕ちんの体を手当てする。
あまり上手な治療ではなかった。
包帯はかなりガタガタに巻かれてしまった。
「クスっ…ドロシアも手当の努力しないとね」
「そうね…ウフフ…」
「ねえドロシア」
「なぁに?」
「僕ちんに…魔法を教えてもらえない…かなぁ…?」
ドロシアはすごい魔女だ。
こんな僕ちんみたいな魔女の、師匠なんかになってくれるのだろうか。
「私もそのつもりでいたわ」
ドロシアの嬉しそうな笑顔。
「!じゃあいいんだね!」
「もちろん」
「やったぁ!やったぁ!ありがとう!」
「こらこら、手当てしてるのだから動かないで…」
「だって!ドロシアが僕ちんの師匠になってくれるんだって思うとう嬉しくて!」
「私もグリルが弟子になってくれて嬉しい」
「ねえねえ僕ちん一番弟子だったりする?」
「もちろん」
「バンザ〜イ!!」
嬉しい。
大好きなドロシアの一番弟子。
たった今からドロシアは僕ちんの師匠だ。
その時あまりの嬉しさに、転倒してしまうほどだった。
これで僕ちんのヘッポコ魔法も、もっと強くなるかな?
これでもう…誰にも馬鹿にされなくなるかな?