二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: LILIN ( No.4 )
- 日時: 2011/05/29 11:27
- 名前: そう言えばこしょうの味しらない (ID: LMtRhfuT)
change to Japan's
ここは日本のネルフ作戦本部戦略指揮官の事務室。実はここは私の専用オフィスルームだったりする。
そんな名前すら厳ついところでの仕事も慣れてしまって、すっかり女ってことを忘れているような気もするわ、最近。部下と(少いからまだいいけれど)上司との板ばさみはキッツイ。でもこりゃぁ仕方ないの一言では済まされないのよ。
さって。今そのお仕事中なんだけど、肝心のPCが外部ウィルスでちょっちダウンしちゃったみたいで……丁度よく、ここに入ってきた彼に駆除を依頼することになった。
全く“このコ”も、ただカタカタ動かしているだけじゃ、素直になってくれないものねぇ。
「そいうところってまるで貴方みたいだわ……カジ君」
みーんな角チョップして直んないかなぁ。……やってみようかしら。思い立ったので職場の壁を蹴った勢いで立ち上がり、腕をまくる、と。
「おっとっそれだけは止めてくれよぉ? コイツも俺も。葛城みたいに精密なんだからさ」
当然その彼こと加持リョウジに止められた。今彼は私のデスクに座って駆除ソフトのセッティングを行っている。
「ネルフ指揮官のPCがウィルスで一発な精密さを持つなんて笑われるわ。機密が外部に流れたらどうする気だったのかしら」
「結構いろいろ付けてやったのに、それはないんじゃないかなぁ?」
彼は不満そうな顔色を振り返って見せてきた。
「問題は性能じゃなくて融通の良さよ? 世の中のお仕事もそんな感じじゃない」
「たくっ。どうして葛城はそんなにことを急ぐんだろうなぁ。きっとその性格で損したこともありそうなのに、さ」
「ここの職場について見れば分かるわよ。よかったら変わってあげようか?」
結構。そう言って逃げるように彼は苦笑を浮かべ、また作業にとりかかる。
「ふーん、しっかし。男に貰ったもんをここまで駄目にする女とは、こりゃ恐れ入りる」
PCの状態が思いのほか厳しいのか、彼はそんなことをもらす。
「そこに器量のいいお兄さんがいてくれるんだから。文句はないわぁ」
「……あっそう」
そこで彼の両肩をがっくり落として……少しうなだれているよう。なんか悪いこといったかしらねぇ?
ちなみに、このPCは確か彼が「戦略指揮官就任祝い 加持リョウジ」なんて手紙と一緒に送られてきたものだった。説明書が分厚くて全部読み終わるまでに4日はかかった。
「そう言えば、サンフランシスコに行ってきたんだっけ? ねぇどうだったの?」
「うん? あぁナパバレーってとこに。リゾートでね」
「ふ〜ん」
ジロリッ。
「海が綺麗できっとお前に……おっと違う。ちゃんと仕事で行ってきたんだ」
「へぇ」
「こっちもサボっているわけじゃないよ」
「どうだかねぇ………それだけ?」
「あぁ。それだけ」
ふ〜ん。ちゃんと警戒してるわね〜。
「……指揮官の事務室はプライベートだからって。ここの執行部の男どもにせまったから。この部屋、監視カメラは置いてないわよ」
「フッ、それは結構」
相手から何か聞きだすには、まるべく相手が好意的に思える条件を揃えることが最適。これ、この業界で学んだことよぉ。
彼は作業する手を止めて、そのまま立ち上がり私を見つめてくる。
「ナパバレーでもそうなんだが、米国内で奇妙な噂を耳にしてね。
最近アメリカの軍事予算が拡張していることは知っているよな?」
「えぇ、なんでもN2兵器の開発費って表沙汰にはなっているわ……ほんとは違うね?」
「さぁ。俺も詳しく調べている途中なんだが。米社会の裏側ではその開発中とされているN2兵器名称のイニシャルは明らかになっている。んだが……並び変えてみると実に興味深い」
それは……そこで彼は言葉を切って私を見つめる。
そして、その並び替えられたイニシャルに私は久しぶりに悪寒を覚えた。
「……E_V_A_i……ですって?」
「お互い勝手な憶測はよさないか、葛城。」
彼はそう言って、私の中の恐れに微笑した。