二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: LILIN  ( No.9 )
日時: 2011/07/14 00:27
名前: そう言えばこしょうの味知らない (ID: PDV9zhSY)

「これからどうするよ、スグル?」
「どうするって、ここで黙って待つしか……それ以前に警察やら場合によっちゃFBIやら来るかもしれんから逃げるとは思うが」
「FBIが来るレベルならあいつらの方は本気だって! もし籠城何かが長引いたら今夜は……あ〜どうしよう、早く学校から抜け出そうぜ?」
「あんだ? なんか困ることでもあんのか?」
「帰ったらおかぁさんと一緒にアルデンテ作るの」
「マザコン設定かよっ! しかも思いっきり死亡フラグ立ててくんな縁起でもねぇ」

まったく純粋すぎる親友とやらは。付き合っているとたまに何とも名状し難い微妙な気分に陥らされる気がしてならない。尚コイツはどんな状況でも相手をからかう節があるのか緊張感のなさが憎たらしい。

まぁ、そんなことを思い出している内はまだ冷静でいられるのかもしれない……とりあえず。疾走を続け、疲れ切った俺たちはその疲弊した身体だけでもこのタイル張りの空間の壁面に背中を預けることにした。近くの個室の開けられた扉の奥に消臭のための容液の入ったペットボトル容器が見つけられる。

さて、正体不明の連中を撒くために俺たちが逃げ込んだのはC練一階の職員用女子トイレだった。……ほかに何と言って良いのか本来の用途よりも化粧直しが多いのか香水の臭いがする。女性にとって本来ならここで呼吸するのは失礼なことであろうし、そもそも呼吸するという機会がないのだが、今は緊急を要する故、しばらく留まるしかない。ついでに息が上がっているので呼吸もせざる負えない。つまり……なんというかそういうことじゃない。

「しかし……ここに逃げ込もうなんてほんとに効果あんのか?」
「わからん、でもそう簡単には入ってこないだろうよ?」

実際にこれが功を奏するとは思えないし、時間の問題なのは分かる。

しかし、それでもなんとか……俺にはどうにかしてボブをこの現状から助けたい気持ちがあったからここに逃げ込んだ。それはもちろん親友というのもあるだろうが、きっと別の“理由”があるんじゃないかと俺は思っていた。しかし、それは分かりそうで分からない、俺の“理由”は実際、リーズンというには儚いような気がする。

「なぁ」
「うん?」
「もし、脱出するとなればさ」
「あぁ? このまま職員室に行かないのか?」
「こんな一大事が起きているのに先生どころか誰も騒がないのは変だろ? 誰もいないのかもしれないし。それに連中が時刻的に放課後を狙ったこともきっと、校舎に人がいないのを見計らってのことだ」
「どういうこと?」

わからない。というか分からないままでいい、お前がこれから言う憶測に納得し、行動してくれるリーズンになればそれでいい。

「どうにしろ早々に逃げ出した方がいいってこと。もしかしたら生きて帰れないかもしれない」
「倒れて堪るかっ。死んだらポケ○ン見れねぇじゃんかっ」

リーズンはどうでもいい。とにかく、お前は----------------- その先はなるべく口調を和らげるためできるだけ押し殺す。

「そうなるとこのままここに居ると危険だ。そこでだ、俺とお前の逃走ルートを別々にしようと思う」
「第一次分裂作戦だな?」
「二次はねーよ。いいか、連中がここに飛び込んできた時のあの派手さを思い返してみれば、どこか犯行が拙い。たぶん教室に飛び込んできた人数だけで他の所は侵入さえれてないのかもしれない、その証拠に他の所からは、特にグラウンドのあたりには派手な侵入痕跡もなかったし、その前に人がいる気配そのものがなかった。別に、メイン入り口の正門が注目されるとすれば?」
「逃走ルートはその裏門で決まりだな?」
「そう、お前はそっちから。なるべく窓際の下を這うようにして西門行くんだ」
「スグルは?」
「俺は……大丈夫、ちゃんと考えてあるから」

そこの窓から行ったほうがいいっと人差し指で換気のためか開けてある窓を示す。
ボブはそれに無言で頷いてそのまま窓によじ登り、そして今にも出れるよう桟に座り込んだ。

「スグル……?」
「うん?」
「後でちゃんと落ち合おうぜ? スグルのケータイに連絡するからな」
「……あいよ」

なんでもいい。早く。とりあえず、お前は---------------ここに居るな。







……さて、俺とボブがこうして別れる際に、もう一つ。
最後にこんなに要らない会話があった。
「しかし、連中の言葉が気になる。まず英語やヨーロッパの言葉でないことは分かるが、どこかで聞いたこともある口調だったんだよなぁ……」

「あれは完璧、ソルトの言葉だよ、ニュースで聞いたことある」
「まだいたのかよ。悪いな、今真剣に考えてるんだ」
「三ツ星の食材の国って名が通っていて一説にそれはたいそう甘〜いプリンの木がなっているらしい」
「某ト○コかっ! 俺たち以前にプリンの木とこしょうに何の関係があるってんだよ?」 
「まぶして吸うらしい」
「こしょうのレパートリーがあらぬ方向に突っ走っている! 異文化舐めてたわ〜……うん? まぶして吸うって……まぶしてす? マブシテス!」

そこで俺は思い出した、あの調子が狂うほど早口な言葉の出身国を!

「あの語調の速さマブシテスタンの言葉だよ、たしか。中国の南西のあたりの国!? たしか一昨年、宗教かぶれした連中によっての拉致問題が発覚した……!」
「ちょ、おま。それはおかしい! ここ米国設定!」

わかっているさ。ただ、なんだろう。馬鹿になるほど発想の泉が枯渇しないヤロー(←作者)がいるせいだとは思うのだが。