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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【青の祓魔師】 -月楼の紡ぎ歌- 【短編集】 ( No.14 )
- 日時: 2011/10/21 20:43
- 名前: ぽんこ ◆xsB7oMEOeI (ID: B2mAVKR/)
※ただの落書きです。短いです。
【奇術師の話】
「例えば世界が小さな玩具箱だったとして、それが私の手の内にあるとしよう。
もちろん箱はいつでもフタを開くことができる状態で、開けようと思えばいつでも開けることができる。
さてアマイモン、お前だったらその箱を開けてみたいと思うかね?」
「ハイ。面白いものが見られそうですから」
「そうだろう? つまりは目の前の甘い蜜を欲するか、あるいは臆するかにあるのだ」
眼下に広がる夜景を眺めながら、メフィストは口元に手を当て、くつくつと笑い声を洩らす。
こういう時の彼はどこか舞台役者のようで、なるほど彼にはお似合いの役だとアマイモンは思った。
ただ、彼の場合は観客を楽しませるのではない。
大口を開けて舞台に魅入る人間たちの裏で、誰にも分からないよう密やかに糸を引くのだ。
そして何食わぬ顔で舞台に登場する——皆さん、ご機嫌いかがかな、と。
「臆していては面白くない。玩具箱が手の内にある限りは、存分にもて遊ばねば。
観客は愚かで無知だが、それ故に面白い。何もかも知った顔をされるのは嫌いでね」
「それで、兄上は何をおっしゃりたいのですか?」
アマイモンはメフィストを見た。
彼は遠くを見つめたまま、かすかに笑みをたたえている。
「何も。ただの独り言だ」
行くぞ、と短く告げられて、アマイモンはハイとだけ返事しておいた。
どうやら兄の頭の中を理解するのは、まだまだ先の話らしい。
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