二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 青の祓魔師 -ちいさな物語たち- ( No.3 )
日時: 2011/09/24 21:52
名前: ぽんこ ◆xsB7oMEOeI (ID: dY0niJTv)

【爆弾投下まであと何秒?】








授業終了のチャイムと同時に、燐は教室を飛び出した。
与えられた時間はわずか十分。
間に合うだろうかと不安が脳裏をちらりとよぎったが、迷っている暇などない。
燐は廊下を全力で駆け抜ける。


「待てや奥村ァァ!!」

突然叫び声がして振り返ると、勝呂が顔を真っ赤にして、こちらに向かって猛ダッシュしていた。
どうやら彼も同じ目的のようだ。
しかし男としてここで立ち止まるわけにはいかない。
立ち止まれば、その瞬間すべてが終わってしまうのだ。
たとえ何があったとしても、この腹の中で眠る凶悪な怪物を外に出すわけにはいかない。

「残念だったな!! 俺は一足先に行かせてもらうぜ!!」

そう叫んだ時、不意に何か硬いものにつまづいた。あっと思う間もなく床に顔面を勢いよく打ちつける。
痛みに歯を食いしばりながら立ち上がり、つまづいたものの正体を確かめると、仏頂面をした囀石(バリヨン)だった。
おそらくどこかの教室から逃げ出してきたのだろうが、悠長に考えている時間はない。転んだことで限界が一気に近づいてしまった。もう一刻の猶予もない。
と、燐の横を一陣の風が通り抜けた。

「誰が一足先やてぇ!?」

勝呂が追い抜いたのだ。燐はすぐに後を追った。

「うおお、勝呂てめぇ!!」

「よそ見なんかしとるからや!! 勝つのは俺や!!」

二人は走る。勝呂の横に燐が並んだ。互いに火花を散らしあった。
角を曲がると、楽園の扉が見えてきた。
二人の速度がぐんと上がる。
あと少し、あと少しだ————


「「うおおおお!!」」






+++







「あーすっきりした。転んだ時は死ぬかと思ったぜ」
「ほんまかぁ? ま、とりあえずこれで一件落着や」


満ち足りた表情でトイレから出てきた二人の前に、きょとんとした様子でしえみと出雲が立っていた。


「え……りん……す、勝呂くんも……?」

「な、なにしてんのあんたたち!!」

「え? なにってトイレ……あっ」

「なぁ奥村、もしかしてここ女子用の……」













その後、二人が無言で神聖なる個室の掃除をしたことは、ほんのひとにぎりの人間しか知らない。


















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すみませんでした(爆