二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: [銀魂]———漆黒の空に蝶が舞う オリキャラ募集終了* ( No.35 )
日時: 2011/07/18 15:27
名前: 瑠々 (ID: .qxzdl5h)


第二訓 表情読み取れない奴って怖い


———「一応、徳川家の側近でした」


朱音の突然の爆弾発言。
ありえない事に、三人は眼球が飛び出るんじゃないかと言うくらい、目を見開いていた。

「ええっと、そんなお方が、なんで万事屋に?」

新八は驚きながらも朱音に聞いた。
すると朱音はにっこりと微笑みながら返した。

「突然宇宙からやって来たクソ天人に、ぺこぺこ頭下げてる幕府が嫌になって家を出たんです。それにあたし、元々あの家の娘じゃあ無いですし」

「え?」

「どう言う意味アルか?」

先程より驚いた顔で問う新八と神楽とは反対に、朱音はにこにこと笑っていた。新八達には、それが逆に気持ち悪かった。

「言葉通りの意味ですよ。あたし拾われたんです。でも、自分の生まれた家も、ましてや両親の顔も名前も知らないんです。気が付いたらあの家で暮らしていました」

拾われた。
自分の生まれた家も、両親の顔も名前も知らない。

とんでもない単語をさらりと並べる朱音は何処か恐ろしく感じだ。
しかも笑顔で答えるなんて、三人には信じられなかった。

でも実際、隠しているのだ。
自分の気持ちが悟られないよう、笑顔を仮面にして。

「じゃあお前、此処に来るまでどうやって生活してたんだ?」

「サングラスかけた公園の主に生き方を教えて貰ったんです。でも、なんか意味のなさそうな事ばかりだったので無視してましたけど」

『サングラスをかけた公園の主』。
こんな者、江戸で、いや日本ではただ一人(多分)。

(長谷川さんだ)

新八はその人物の名を挙げると納得した。と言うか安心した。
あのマダオのやる事は、正直言って教育上良くない。だからそんな者の
言う通りにしなかった朱音に安心したのだ。

すると、急に朱音が真面目な表情になり、

「あたし一応、あの家の養女だったんで、もしかしたら———…」

朱音が言いかけた、その刹那。
玄関から戸が蹴破られた音が響くと、黒い服を着た男達が次々に家の中へ入って来た。

「御用改めである!」

その中の一人が声をあげた。
その人物は、『真選組』鬼の副長・土方十四郎だった。

土方は銀時と目が合うと、一枚の写真を渡した。

「さっき、此処に徳川家の側近・鳳家の娘が入って行ったという情報が
入った。万事屋。この娘は何処だ?」

写真に写っている人物——それは紛れも無く、朱音だった。
銀時は何時もどおりのテンションで、

「あー、コイツなら其処に———…」

先程まで朱音が座っていたソファを指差しながら言った。が、
其処には朱音は居なかった。
銀時たちは驚いて辺りを見回した。

すると、銀時の背後から声がした。


「あたしなら此処にいるけど?」


両手に大事そうに刀を抱えた朱音が、真選組を睨みながら立っていた。