二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

 今日だけ、だから。 ( No.10 )
日時: 2011/06/11 11:22
名前: りの ◆VaTW4xNXp. (ID: uZfNfZiH)

 俺が好きだった奴。
 だけど、彼女は俺のチームメイトが好きになった。

「ジャン、ジャンってば」
「……何だ?」
「えへへ、今日ね——」

 嬉しげな笑みを浮かべて、わくわくと今日の幸せな出来事を話すソウ。俺は正体すら知らない彼女に何時の間にか惹かれていた。だけど彼女はある日、俺に相談してきた。
 俺のチームメイトである、マルコ・マセラッティが好きなの、なんて。今更ソウに想いを伝えることなんてできない。

「ジャン、聞いてる? おーい、ジャンルカ・ザナルディくーん、」
「悪い、聞いてなかった」

 冗談っぽくそう言うと、ソウがくすくすと笑った。しっかりしてよ、もう。なんて。
 俺はいつだって相談役だったから、——良いんだ、これで。

 だけどある日、驚くべきことが起こったんだ。

「ジャンルカ……、」

 珍しく浮かない表情を浮かべてふらりとこちらにやってきたソウは、泣いていたのか目が腫れていた。一体如何したんだ、と問いかけてみるとソウが自嘲気味に笑う。

「ふられた」

 誰に、と聞く前に彼女は此方に抱き付いてくる。
 俺の胸に顔を埋め、嗚咽を堪えながら涙を流していた。彼女の黒髪をさらりと手で梳いてやるのが精いっぱいだった、
 だって俺には、



( 彼女を抱き締める資格なんて無いのだから)





あとがき/
マルコ←ソウ←ジャンルカ。
きっとマルコはソウのことは妹としか思えないんだと思う。