二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

 私と彼の七日間. ( No.3 )
日時: 2011/05/30 18:55
名前: 乙亞 ◆VaTW4xNXp. (ID: K75.VLwZ)

( いちにちめ、! )



 かあかあ、と燃え上がる緋色の向こうでカラスが鳴いた。
 だけど私に帰る場所は無い。先程の夕立でぐしゃぐしゃになったダンボールの中で、私は猫のように体を丸めた。
 今、とても自分が哀れで惨めで滑稽な光景になっているというのは分かっている。それでも、寒さからはこうしないと逃れられなかった。
 ——私は此処で、両親の存在を完全に否定した。
 初めから可笑しかったのだ。珍しくにこにこと笑みを浮かべていると思えば、すぐに怒りだして。嗚呼、きっと今頃私の両親は嬉しげに談笑しているところだろう。厄介者を捨てられたんだ、猫のように、ポイっと。

「何をしている」

 ふと、頭上から冷たい声が降り注いだ。
 何だろうと上を見上げれば、ゴーグルにマントという変な——否、不思議な格好をした少年が目に入る。
 ——何故か、とても懐かしい。
 何処かで見たことのある少年をじい、と見つめていると少年は気分を害した様に眉を寄せた。

「だれ、」
「……デモーニオ。デモーニオ・ストラーダ、だ。お前は」
「……ソウ。リンドウ、ソウ。日本人だけど、外国人」

 へへ、と微かに笑うとデモーニオは訝しげに此方を見つめ、すぐに口を開く。

「何故、猫のように捨てられている」

 それは私が一番聞きたいことだよ、という言葉を飲み込んで私はにへらと笑む。
 強がりな、そんな笑み。
 そうしていると、デモーニオはひょいと私の体を抱えあげて歩きだした。

「デモーニオ、どうしたの」

 きょとん、としているとデモーニオは何も言わずにただ私を担いで歩くだけだった。
 其の表情は読み取れず、怒っているのかすらもわからない。
 だけど何故か、私は彼が不機嫌だと言う事がわかった。

 あの後、私は大きな建物に連れて来られた。
 其処で色々な人と会ったんだ。
 まずは、カゲヤマさん。彼は皆にミスターKと名乗っているらしいが、私にはそう教えてくれた(勿論、デモーニオには秘密だ)。
 其のほか、色々な人。皆を紹介するときりがないので、省いてしまおう。

「今日から此処がお前の部屋だ」
「……広い、ねえ……」

 シンプルな部屋だったけど、とても広かったから私は思わず頬を綻ばせた。
 デモーニオはそんな私の様子を見て何を思ったか、ぽふぽふと私の頭を撫でてから夕飯の時に呼ぶ、と言って何処かへ行ってしまった。
 これから何をするかなんてわからない。
 ただ、嫌な予感だけが私の中を駆け巡って居た。



( あのとき、引き留めて居れば良かったの? )






あとがき/
敢えてのデモーニオ。
初めは鬼道を予定していたんだけどね←
ちなみに、まだ視力はある予定(ぁ