二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

 私と彼の七日間. ( No.4 )
日時: 2011/05/30 20:51
名前: 乙亞 ◆VaTW4xNXp. (ID: K75.VLwZ)

( ふつかめ、! )



 昨日、ふかふかのベッドで寝て私はご機嫌+絶好調だった。
 此処はライオコット島と言って、色々な国のエリアがある大きな島だということをデモーニオから聞き、私は早速色々と見て回ることにした。
 カゲヤマさんからお小遣いを貰い、るんるんとイタリアエリアを歩いていると遠くで何やら一人の女の子がチンピラみたいのに絡まれているのが見えたので、慌てて駆け寄る。

「何してんのさ、かっこ悪いよ」
「ンだとォ!?」

 ば、と女の子の前に立ちはだかりチンピラにそう言えば、逆上したのか此方にガン飛ばしてくるので私は面倒だなあと思いつつ構えを取る。
 チンピラはいきなり殴りかかって来て、だけど横から飛んできたサッカーボールによって吹っ飛ばされた。

「大丈夫かい?」

 にこ、と人の良さそうな笑みを浮かべたサッカーボールを蹴った張本人であろう少年が此方に手を差し出してくる。
 優しい子だなあ、と思いつつ私はその手を取り立ちあがり、笑みを浮かべた。

「有難う。イタリアの人?」
「うん、俺はフィディオ。フィディオ・アルデナ。君は?」
「ソウ。リンドウ、ソウ。日本人だよ」

 フィディオは宜しくね、と私に向かって右手を差し出してくるので私は快くその手を握る。
 さわやか系のこういう子も偶にはいいものだ。安らぎをくれるのだから。

「ソウ、か。ねえ、ソウはどうして此処に来たの?」
「……えっとね、色々と見たかったから!」

 後、ジェラートが食べたかったから。
 そう付け足せば、フィディオはクス、と笑っていいお店を紹介してあげるよと言ってくれた。

「——っぁ、」

 二人でジェラートを頬張っているとき。
 デモーニオと似た様な格好をした少年が目に入った。
 あの子は確か、鬼道——鬼道、有人。あれ、どうして私はあの子のことを知ってるの、あの子のことが懐かしいの。
 暫く黙りこんで居たら、フィディオが心配そうに顔を覗きこんできた。

「大丈夫?」
「……っ大丈夫だよ、フィディオ」

 ふと鬼道有人と、隣に居た円堂守——また、知ってる——と視線がかち合う。
 二人は驚いたような表情を浮かべたが、すぐに複雑な顔になり視線を逸らした。

「……ソウ、帰った方が良いよ」
「っ何で、」
「顔色が凄く悪い、……ほら、送ってあげるから」

 流石に彼も私の尋常じゃ無い様子に気がついたのか、立つことすらままならず震える私を背負い、私が案内した通りに送ってくれた。
 ごめんね、というと彼は大丈夫だよと柔らかく笑んでくれた。

「……ッ、ごめん、ね」



( 誰に向けて言ったかなんて、 )





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