二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 星のカービィ 星命の言葉 ( No.99 )
日時: 2011/07/11 20:07
名前: 満月の瞳 (ID: A2bmpvWQ)

第十三話 道化師、現る

「ねぇ…カービィ…」

ゆらりと、揺れ動きながら、マルクはカービィのそばに近寄る。

「教えてよ…」

いびつで不気味なな翼が、カービィを今にも絡め捕らんばかりに、大きく広げる。
不思議な光を持った、ツバサの装飾が、キャラキャラと音を鳴らす。

「な、何を?ぼ…僕は君が何でここにいて、しかもなんでこうなっちゃってんのか…混乱しちゃって訳が分からないんだよ…!」

裏側の世界と呼ばれる、現実味のない空間に数か月迷った挙句、メタナイトみたいな謎の人物に襲われかけるし、しまいにはマルクが現れた。

カービィは完全に混乱していた。
その横で、グリルもうろたえている。
メタナイトは、マルクに対抗すべく、宝剣ギャラクシアをしっかりと構えている。

「そもそも…教えてって何を…」

「君は出会ったんだろ…?もう一人の『君』に」

「!」

「図星は駄目なのサ…君はただでさえわかりやすいんだから、もう少し表情を隠す練習をしなよ」

「どうしてそれを…!」

「〝どうして〟?だってそれは君が証明してくれてるじゃないのサ」

「証明?」

「魔法を使ってもない君が、どうして裏側の世界にまぎれこんじゃったのサ」

「…!」

「君は魔法は使えない。だけど、裏側の世界に行ってしまった。それは、君に強い魔力がかかっちゃったてことサ」

「強い魔力…?」

「近頃ね…『鏡の国』の鏡の力が弱くなっちゃってね…本来合わないはずの、裏側存在に密接しちゃうようになっちゃたのサ」

「鏡の国だと…?」

ピクっと、メタナイトがマルクの言葉に反応した。

「そう、鏡の国。元銀河戦士様、君の裏存在も逃げ出しちゃったみたいだし」

「ま…まさかあの時のメタナイトは…!」

「そう、裏のメタナイト…。しいて言えばダークメタナイトって存在」

「裏の私…?」

「表世界に存在しているぼくらと、裏世界に存在しているもう一人の自分。この二つがあってこそ、表世界のぼくらは存在している。裏世界の自分は、影。姿はそっくりだけど、影としてしか存在できない」

「でもそれって、絶対に出会わない、存在なんでしょ?僕ちん影が勝手に動くなんて、聞いたことないもん」

グリルはよくわからない展開に焦っているのか、少々言葉がとぎれとぎれになっている。

「表と裏の両立を支えるのが、鏡の国の鏡。だけど、それの力が弱っているということは、お互いが反発しちゃう…つまり、影は自立して、暴れまわる」

「つまり裏の私は、ひとりでに行動を起こしているということか」

「そうだね」

「裏が反発してたらどうなっちゃうの!?」

「存在の糸が切れて…まぁ体も魂も消えるね」

「そんな!それじゃあメタナイトは!」

「ほうっておいたら…消えちゃうね」

ククク…とマルクは楽しそうに笑った。
驚愕しているカービィとグリルを後目に、メタナイトは冷静だった。

「止めるにはどうしたらいいの!?」

「知らない。ぼくだってそんなことわからないサ。それよりも…教えてよ。カービィ…どうやって君は裏にあったの?」

つめよるマルクに、後ずさるカービィ。

「知らない…!」

「なぜ?なぜ君はあえたのサ」

「知らないよ!だって夢の中で…!」

「夢?」

マルクは、うーんと考えて、すぐににやりと笑った。

「へぇ…ふぅん…なぁるほどぉ…」

舌なめずりをして、マルクはさらにカービィに詰め寄った。

「君はもうじき『君』と戦うことになるだろうね」

「えっ」

「表と裏の戦いを見たいけど時間がないんだよね…ぼくはぼくの役目を果たさなきゃ…じゃあね」

マルクは翼を大きく広げ、ふわりと宙に浮かんだ。

「ちょっとまってマルク!」

「?」

「君はどうしてそんなことを聞いたの?」

カービィの問いに、マルクは実に楽しそうに笑った。

「裏の力をすべていただいて。最強の力を得るためなのサ!」

そう言って、マルクは飛び去った。
そして、一瞬で見えなくなった。