二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 思い出。それは心を色鮮やかにしてくれる (星のカービィ) ( No.140 )
日時: 2011/08/27 21:20
名前: 猫科の犬 (ID: UDcUxrh6)
参照: http://www.pixiv.net/member.php?id

第3話 感情

ビーズはアドレーヌに一通り話し終わって自己紹介した数分後のこと。
アドレーヌは用意されたパレットと筆を持って絵を書き始めていた。思い出の絵を。
アドレーヌが1枚目に書いたものは、1番よく知っているポップスターだった。

「それがポップスター?」

「うん。」

その絵を書く様子をビーズは後ろから見ていた。

「そうなんだ。」

「うん。」

「なんかいきいきとしてないんだね。植物も。生き物も。みんな暗い。」

「え?どうしてそう見えるの?」

「感情がこもってないっていうのかな?あ。でもこもってるっていったらこもってるんだけど、
 楽しいって感情じゃなくて暗いって感情がこもってるから。」

「どうしてそんなことわかるの?」

「絵を見ればわかるよ。特にアドレーヌさんの絵は少しながらも魔力があるから。」

「魔力の流れを見ることが出来るの?」

「まぁ、少しだけね。カービィ達に会う前に旅をしていたから。」

「絵を見て感情がわかるものなの?私みたいな魔力がこもってなくても。」

「分かるよ。アドレーヌさんは絵描きなのに分からない?」

「う・・・・うん。ごめん。」

「謝る必要はないよ。いい方が少し残酷だけどそれは、アドレーヌさんの技術が素人って証拠だから。」

「・・・。」

「あ。別に私も素人だからね?アドレーヌさんみたいに絵は上手な方じゃないし。
 ただね、達人とか名人とか上の段階になるとね、どこでどんな感情を持たせればいいかっていうのが分かって来るんだよ。
 私は全然わかんないんだけど(笑)」

「じゃあ、感情ってどうやっていれればいいの!?最初だってお茶会の絵を書いた時に
 感情がこもってないっていってたし・・・。」

「簡単だよ。ただ何も考えずに書いてればいい。ここは楽しそうに。ここは怖そうに。ここは悲しそうにっていう
 思いは大切だけど、ここはこうしよう。あれはこうしよう。次はこうしようって思ったら駄目なの。
 目を閉じて集中してただその目の前にある紙だけに集中して自分の書きたいものを書くの。
 ぐしゃぐしゃになってもいい。それがアドレーヌさんの初めての感情がこもった作品になるんだから。」

「でも!!それだったら思い出の絵じゃないよ!!ビーズは、思い出の絵を書いてっていったじゃん!!
 そんなの書いてたら、ただの自分の作品だよ!!」

ビーズがため息をついた。

「わかってないな。確かにいったよ。
 だってアドレーヌさんがこんなにも感情の入れ方を知れないって分からなかったんだもん。
 だからここから始めようって思ったの。思い出の絵っていうのは感情がこもってなければ実体化しないんだよ。」

「・・・。」

アドレーヌは黙り込んだ。
ビーズの言うとおりだったからだった。
アドレーヌはカービィ達がまた助けられるということばっかり考えていて、焦っていた。
今、アドレーヌが書いていたのはただの絵にすぎないのだ。

「少し、外に散歩しに行こうか。そよ風が気持ちいいよ。」

「分かった。」

アドレーヌの返事をきいてビーズは、アドレーヌと一緒に外へ散歩しにいった。