二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ”絶望”と”希望”交わる世界で。    魔法・アンケ募集! ( No.118 )
日時: 2011/07/03 22:12
名前: 藍蝶 (ID: fjkP5x2w)
参照: やべ、アニキャラ男の娘しか興味なくなった……だと←

第11話 「歌姫の決意、二人の絶望」


「最近、魔力が衰えてきてるように感じてるんです」

めずらしく萎れた表情で呟くように話す春奈。

「それで……私が、音無さんに一緒に修行しませんかって……誘ったんです」

俯く葵。ついでに侍女としては春奈の方が先輩である。

「でも、いざ戦うとなると……あはは、BとCが∞のドラゴンに敵う筈なかったんですね」

傍から見ても無理した笑顔だって分かる。
先輩後輩とはいえど、たった半年の差。とても仲の良い二人として王宮内では評判だった。

「それで、俺達が駆けつけたらいつもピンチで……でもまさか、今日来た時∞2体と戦っているとは思わなかったもので……あ、申し遅れました。俺はこの世界の親衛隊”閃光湖 −ブライトレイク−”副隊長を務めます、霧野蘭丸。ランクはS」
「俺はそこの隊員な!ランクはBだけど、下剋上精神有るのみ!」
(最初二体って……後から四体も呼んだのかよ)
「そういえば彩染様。今日はどの様な御用件で……?」

ちょっとおどおどした態度の葵。
過去、刹那が葵に稽古をつけてた時、一瞬で葵の来ていた鎧が砕け散り医療室送りにされた事があった。
ちょっとしたトラウマになっており、倒された相手に今度は手術されるハメになったので、異様な空気に吞み込まれたらしい。

「王宮を攻め落としに、来たんです」

何処か暗い影が漂う刹那の笑顔。
葵達の顔は、瞬時に真っ青になり、霧野と綱海は逆に赤くなっていく。

「何でですか!?貴方は元最高の実力を誇る親衛隊”イマージョン”隊長でした!この世界を纏める王を、守ってきたヒトじゃないですか!?」
「そーだよ!今でも侍女やってんだろ!?王宮関連の奴が王宮を攻め落とす!?聞いた事ねぇ!!」

明らかに二人は怒っている。
そりゃそうだ。目の前で自分達の仕える城を攻め落とすと言われれば兵士なら優先的に怒りが込み上げるだろう。
とうとう綱海が剣を抜いた。

だが、一瞬のうちに、その剣は粉々に砕かれ綱海が血を吐いて力を失ったかの様に浮いていく。

「「「!!!?」」」

霧野、春奈、葵が青ざめていく。最終的には綱海が、蒼い光となって無残した。
対してリンは、刹那の横でパチパチと拍手を送り、わーお見事ーとか言っている始末だった。

「逆らうのなら、今私が殺った様にしてさしあげましょう」

その言葉に、三人はこれでもかという程青ざめ、リンはケラケラ笑いだしていた。

「あ〜、面白ぉい。大口叩いた奴が消えたぁ〜!きゃはは」

涙を薄ら浮かべながら未だリンは笑う。その残酷な笑みからは、一国の王女など連想出来る筈もない。

「綱海……さんっ……」

涙を流し始める春奈達。余程慕っていたのだ。Bランクでも、その豪快さから一部に「にぃに」と呼ばれていた程。
それは、刹那を前にして消え去った。

「アハハ、可哀想〜」

そう言いながらもちっとも可哀想など思ってはいない。

「じゃあ、失礼します。私先急ぐんで」
「あ、別行動?いいよ〜」

先程よりスピードを落として走り去っていく刹那。一時的に別行動をとる。
元々彼女は団体行動を嫌うので、という理由が大半を占める。

「さぁて、僕は皆のとこに戻ろっかなっと」

笑うのを止め、微笑むリン。

「待ってくださいッ!」

リンが振り向くと、目が赤く染まった春奈がリンの方を見ていた。

「何?歌姫様?」
「私も……私も、連れていってください!」
「はぁ!?」

あろう事か、世界と平和を繋ぐ筈の歌姫が自ら戦参戦宣言をした。

「あ、あのね、分かってる?アンタみたいなBが大体∞で構成されたチームに入れるとでも?」
「私は歌姫です。”鎮める”歌を……歌います。そうすれば動きも止まるし、お役に立てると思います。だから……」


春奈の後ろからオイ、マジかよ……という声が聞こえる。
鎮めの歌は、三年の穴を埋める為に歌われた魔力をこれでもかという程使う歌。
今の春奈では、三回が限度。綱海みたいに”死”を迎える。

「お願いしますッ!」

バッと頭を下げた。
リンはん〜、と考える仕草をしながら、

「よし、良いわ。革命の為に命捧げる歌姫。何か良いじゃん」

笑った。
春奈の顔は一瞬にして満面の笑みに包まれる。

「音無……さんまで……」

でも、後ろには絶望としか言えない顔をした、二人の姿があった。

第11話 終わり