二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ”Despair”と”Hope”交わる世界で。オリキャラ募集 ( No.36 )
日時: 2011/06/17 22:02
名前: 藍蝶 (ID: fjkP5x2w)

第2話 「消えとくのが正論?」


「はぁ、3人しかいなけりゃ採用しかないな」

書類を見て溜息を吐くリン。
3人のレベルは高い方だから問題は無いけれど、テストもしないで採用するなどリンにも、大臣達にも不安は大きかった。

「仕方、ないですよね……」

リンの前に跪きながら呟くのは神童拓人。
レベル∞の魔導師で、王宮兵士A軍(別名ソプラディア)隊長。実力は高い。

「相変わらずのマイナス思考か。まぁ良い。直接これから会うのだから」

言った途端、ガタン、と重いドアが開かれた。

「例の3人を連れて参りました」

少し開いたドアの隙間からひょこっと顔を出すのはギュエール。

「いいぞ、通せ」

ドアは全開に開かれ、書類に書かれていた3人が入ってきたと同時に跪く。

「お初にお目にかかります。空雪優乃、狩人で侍女希望です」
「こちらも、神月由梨菜。職業は医者。ここでは王宮兵士を希望しております」
「同じく。日聖光流と申します。狩人で王宮兵士希望者です」

簡単な自己紹介は実に簡単に終わった。
次にリンはこう質問を投げかける。

「御主らは、僕に尽くす忠実心を持ち合わせているか?」
「「「はい」」」
「その為なら、命を投げられるか?」
「「「勿論でございます。リン王女」」」

そう、と小声で呟いた後、

「口だけなら、何とでも言えるし裏切りも有りか……」

しばらく考える仕草をしてからリンはこう言った。

「よし、採用は決定。という事で、早急に旅支度を開始せよ」
「えっ!?」

リンの発言に一番驚いたのは、ギュエールであった。

「何?」
「そんな……新人を護衛につけるおつもりですか!?ベテランの王宮兵士を数人、連れていくと……」

黙って跪いている3人は多少ムッとしたが、それを表情に出す事はない。

「ふふ、だからこそ……だ。拓人は連れて行く。けれど他は連れて行かない。何故じゃ?」
「え……と」

少々言葉が詰ってしまった。
そこに一人が助け舟を出す。

「拓人様以外の王宮兵士には絶対的な信頼はしていない。それよりも関わった事の無い新人に賭けた方がマシだ……と、いう事ですか?」

日聖光流だ。
少し顔をあげて、説明している。

「そう、その通りだ、日聖。中々読み取りが早いではないか」

む、と言った後リンはまた質問を投げる。

「じゃあ、”旅支度”という単語の意味も……分かっておるな?」

今度は優乃と由梨菜が答えた。

「最近、王女様が”カケラ集め”の旅に出る……という噂が流れております。その護衛をしろ。そういう事ですよね」
「もう少し詳しく言えば、カケラの力を私達に宿らせよう、そういう事ですね?一人で全てため込むのはかなり負担が掛かりますから」

少しの沈黙の後、リンは腹を抱え笑いだした。

「アハハハハ!!何だ、他の兵士、侍女よりも洞察力が長けているではないか!ハハハハハ!ハハッハハハ……ハハハハハ……」

コホン、と咳払いし、玉座に座り直すリン。その頬が微かに赤い。

「分かったなら、早く旅支度せよ。出発は……明後日朝一番にじゃ!」


高らかに声が王室内で響き渡った。

第2話 終わり