二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ”絶望”と”希望”交わる世界で。   オリキャラ・魔法募集 ( No.45 )
日時: 2011/06/18 14:14
名前: 藍蝶 (ID: fjkP5x2w)

第3話 「人生の分岐点とは、身近にある物である」


光ノ世界に夜は来ない。朝も来ない。
ずっと、昼のままである。
でも時計は正確に動いており、フォード大教会の大きな時計は今午前4時30分を指している。

「それじゃ父様。行って参ります」

茶色いフード付きのマントを黄色い金具で留めたリンが、父であるソーラに別れを告げる。

「ふふ、娘が世界を変えるような旅に出るとは思ってもいなかったな」

悲しげな微笑みを顔に映し出すソーラ。心の中では反対したかったんだろうけど。

「大丈夫です、王様。王女は、必ず守り抜きますゆえ」

光流がそう言う。

この旅には、護衛として4人がついている。
空雪優乃、神月由梨菜、日聖光流、神童拓人。魔力が兵士や侍女の中で最も高いと断定される4人だ。

「ここに……母様がいないのが、心残りだけれど」

リンが薄く口角をあげて俯く。
そう、リンに母親はいない。正確に言うと、消えた。
その原因を作ったのはリン自身だ。7年前力を暴走させて母親を爆発に吞み込ませてしまったのだ。
心の傷はいまだに癒えていない。それどころかより深く傷ついていっている。

「リン……」

不安そうなソーラの前で、今度は思いっきり顔をあげ微笑んだ。

「でも大丈夫です。死んだヒトは霧となり消えますが、また生まれ変わるとこの前証明されたでしょう!」

しばらく沈黙が流れたが、ソーラが笑いだした事により沈黙は破れた。

「ワハハハハ!そうだったな、それなら何処か遠くで再開出来るなぁ!ハハハ!行って来い、リン!」
「はい!」

リンは部屋の中心にある輝石に手を翳した。

「テレポーションズブルー!海ノ世界へ飛べ!」

次の瞬間、リン達の体は閃光に包まれ、そして、消えた。





「これで、良かったのか?フォルミア」

ソーラが、後ろにいた侍女に話しかける。

「ふふ、大丈夫よソーラ。あの子は”神の子”なんだから」

言った途端、侍女の体は光に包まれ瞬く間に姿を変えた。
薄黄色のショートヘアは白銀のロングストレートへ。
額からは銀の角の様な物が生え、
メイド服も蒼い輝くドレスへと変わっていった。
顔も、童顔からシャープなものへと。

「何時までも姿形を変えているのには、ホント莫大な魔力を欲す事になるわよね」

有ろう事か、声まで変わった。

「はは、でも君は”神”だろう?永久の魔力を手に入れた」
「何でもお見通し?……まぁ、そうよ。私は永久に疲れない。魔力も尽きない。望んだ事でも無いけど」

呆れた顔で”フォルミア”と呼ばれた女性は壁にもたれかかる。

「全く、前神”オフューカス”はとんでもない事を仕出かしたものね……こうしてて正解なのかもだけど」

チラッとあの輝く輝石に目をやる。

「まぁ、そう怒るものでもない。こんな事があったからこそ娘の成長が見れたんだろう?」

そうだけど、と呟いてフォルミアはソーラに背を向ける。
その仕草はどことなくリンに似ていた。

「その拗ね方は今も昔も変わらないな。だからリンが似てしまうんだぞ」
「仕方ないじゃ」

仕方ないじゃない、それを言いかけた時にソーラはフォルミアの肩に手を乗せた。

「平和に戻れるといいな」
「……そう、ね」

そう言って、ただ微笑むのであった。

第3話 終わり