二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- ( 二話 ) 必殺技 ( 彩音視点 ) ( No.21 )
- 日時: 2011/06/30 18:06
- 名前: 憐卯 ◆Oq2hcdcEh6 (ID: qsw8GWEd)
ぼろぼろの古いサッカー部室。中では、選手とマネージャーによるミーティングらしきものが行われていた。ホワイトボードを使い問題点を説明するキャプテン。の声をあたしは遠くで聞いている錯覚に陥る。嗚呼、眠いなあなんて考えて。
「帝国戦で、オレ達の問題点が分かった。それで、」
「問題点も何も、まず体力無さ過ぎ」
ま、マックスくん……確かにそうなんだけど、それを言っちゃお終いだよっ。一気にずーん、と暗くなる雷門イレブン。それを見ていた亜美ちゃんがくすくすと面白そうに笑った。笑いごとじゃありません!
マックスくんが流石にこの雰囲気を感じ取って、申し訳なさそうにせず謝った。
「あ、ごめん。今の凹んだ?」
「私はへこんで無いけどねえ、」
はい、亜美ちゃん黙る。亜美ちゃんを引っ張って口を押さえればもがもがと何かを言おうとしていた。まあ良いや。
というわけで、闘争心をめらめらっと燃やしている染岡くんを見てくすくすと笑っていると夏未サンがやって来たので驚き。
「次の対戦校を決めてあげたわ」
「ええええっ!!!?」
あまりにも早い展開に着いて行けない……。たじたじっとしていると、亜美ちゃんが面白そうにくすくすと笑っていたので少し驚いた。亜美ちゃんって、そういうの面倒臭がりそうな子だから、だ。しかし、亜美ちゃんは思ったよりも好戦的らしい。あたしは負けず嫌いだけど。次こそは帝国に勝手みせる!! 円堂くんを見ていると、何故かそう思えてくるのだ。
この間亜美ちゃんが、彼は不思議だと言っていた。それが何となくあたしにも分かる気がした。
( 帝国学園 / 通常サイド )
帝国学園グラウンド——鬼道達は其処で練習をしていた。
「鬼道さん!」
ボールが鬼道へと渡り、鬼道が大きく跳躍してサッカーボールをゴールへと叩き込む。凄まじい音と共にサッカーボールはネットを突き破る勢いでゴールへと入り、衝撃からか白煙が立ち上っていた。着地した鬼道が赤いマントをはためかせ不敵に笑みを浮かべる。
其処から練習は再び始まり、部員達がそれぞれに思い思いの練習をしている。紅白試合でもしているかのようだ。
「鬼道さん、雷門中のこと聞いてますか?」
休憩している鬼道に、同じく休憩中であろう辺見が話し掛ける。鬼道は飲んでいたドリンクを置き、辺見に問い掛ける。
「奴等が如何した」
「帝国とやってから、実はかなり凄いチームなんじゃないかって噂が広まってますよ」
先程までの笑みが消えさり、いらついたように違う方向へと顔を向ける辺見。
「酷い所になると、帝国が一点に泣いたって話しまで」
「……だが、それはあの女の点数を除けば、の話だろう」
亜美のこと、——あの試合で確かに亜美は数点決めていた。息も乱さずに。あの女があのまま試合を続けて居れば、確実に此方は負けていた、と鬼道は思う。
しかし、鬼道は不敵な笑みを刻んで辺見に言う。
「言わせておけ、……俺達は任務を果たした。それだけだ」
その言葉を聞き、辺見は納得したのか笑みを浮かべた。
「そうですね。——ただ、あれから雷門には練習試合の申し込みが後を絶たないそうで」
「ほお、」
「探りを入れた方が良いですかね?」
そう尋ねてくる辺見に鬼道は再び笑みを浮かべた。
余裕の表情はあくまで崩さない。
「必要ない。鼠は既に潜り込ませた」
ふ、と鬼道は再び笑った。