二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【REBORN日常】Distance【100コメ突破】 ( No.118 )
日時: 2012/01/20 19:17
名前: 北大路 ◆Hy48GP/C2A (ID: vkkVQEZj)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode

#29「吹奏楽部」


ユウの所属する並中吹奏楽部は、
意外と強いようである。

並盛中学校吹奏楽部は、
1年生9人、2年生10人、三年生は11人の、
合計30人という超小編成のバンドである。

んま、全国で見れば「小編成に毛が生えた」位なのだが。

コンクールではとりあえず県大会からさらに進める方の金賞か
ダメなほうの金賞を毎年五分五分の確立で獲得。

前に一度記述しましたっけ……?

まあ、そんなユウの部活の日常を切り取った
ちょいとした話に、アナタも付き合いませんか?



11月。

先輩は引退したし、校庭の木は葉を散らし。
少し寂しいなあ、と感傷に浸るユウ。

「練習すっぞー」
「はあーい」

クラリネットパートのメンバーは、
パートリーダー2年のユウ、ファースト2年の大野さん。
1年はセカンドの安達美緒と、サードの神谷希(のぞみ)。

大野さん以外はユウに下の名前で呼ばれている。

「何だっけ、今度野球部の応援でまた会場盛り上げるの?
 今週の土曜日ぐらいにやるみたいよ」
「たけちゃんは、いるんですか?」

希が質問してきた。

「山本のこと? あいつエースなんじゃないの? 来るでしょ」

雪猫以外にも、山本を「たけちゃん」と呼ぶ人はいる。
そして希もその一人である。

「先輩!! その日休んでいいですか?」

美緒が言った。

「バカヤロー、ダメに決まってるだろ」

美緒は少し考えた様な表情をしていた。
が、しばらくしてもう一度こう言った。

「ステーキ食べに行きましょう!」
「ダメだっつってんだろ」



野球部の試合当日。
応援席ではメンバー全員スタンディングで演奏。
その甲斐あって、かどうかは不明だが。

12対0でコールド勝ち。
野球部と一緒になって喜ぶ部員達だった。

が。

「如月先輩と美緒、どこ行ったの?」
「ユウ? 美緒? 今日は見てないよ」

ユウと美緒が居なかったようだ。
試合終わるまでずーっと気付かれなかった不思議。



「美緒」

か弱い声で呟いたユウ。
今彼女は私服である。

「はい」

同じようにか細い声で返事をする美緒。
彼女もまた、今は私服。

そう。サボリである。
今は「素敵なステーキハウス」という、うさん臭い店に来ている。

「ダメって……言ったよね」
「……はい」

力なくステーキを食べながら囁くように美緒が言った。

「うまいな」
「……はい」

ステーキを噛み切りながらユウが言った。

「……」
「……」

沈黙が続いた。

数分後に、ドアが開いた。
そして、それを知らせる鈴がうるさく響いた。

「みんなー、今日は私のおごりよ〜、好きなだけ食べてね〜」

オネエ風の喋り方、ド派手な髪型。
黒いコートに、サングラス。

「しししっ、ホントに美味いんだろうな?」

銀色のティアラに目が隠れるくらい長い前髪。
オネエ男と一緒のコートのような上着に、黒と紫のインナー。

「フン……タダなら好きなだけ食べさせてもらうよ」

リボーンと同じぐらいの背丈で、フードを被り顔が分からない赤ん坊が言った。

「ボス……」

30代のオッサンがいとおしげ? に男の方を見ていた。

美緒が不思議そうに、変な集団を見た。
しかしどこかで見た覚えがあるのは気のせいか?

「……ドカスが、あんまり騒ぐんじゃねえ」

オッサンの視線の先にあったイカツーい男の人が言った。
顔に傷跡があった。

間違いない。

「ヴァリアー?」

ユウが呟いた。
と、同時に周りの空気が凍りついた。