二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【REBORN日常】Distance【企画進行なう】 ( No.159 )
- 日時: 2012/03/26 17:26
- 名前: 北大路 ◆Hy48GP/C2A (ID: vlinVEaO)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode
#43「てへぺろの発祥はローラなの? トリンドルなの?」
ユウは今日も部活を頑張ろうと、部室である音楽室へダッシュで向かった。
合奏なら良いなあ。
顧問の先生天然だから、時計を早めたら、
本当に時計が正しいと信じて、部活が早く終わるんだけど。
かすかな希望を抱いて、音楽室に向かう金髪少女。
やっと音楽室に着いたユウ。
だが、先刻のかすかな希望は
ドアに張られた紙切れによって打ち砕かれた。
『3月24日(土)
今日はパート練習です
3年の教室が使用不可なので
クラリネットとフルートパートは代わりの教室探して下さい。てへぺろ♪』
顧問の字でこう書かれた張り紙に、ユウは「なんだパー練か」と言って、部室に入った。
パート練習、略してパー練の日には、
いろいろ厄介な安達美緒という後輩が大体いる。
彼女は、隙あらば早退やサボる事しか考えていない。
少なくともユウにはそう見える。
だがまず、そこよりも……。
「てへぺろ……ねえ」
まずはここ。まさかの「てへぺろ」。
確か顧問は今年30歳のオッサン。
良い歳して何やってるんだアイツ?
だが、一瞬気にしただけで、
それ以上ユウは「てへぺろ」については何も言わず、
さっさと楽器と楽譜、譜面台を持ってパー練に使う部屋を探しに行った。
*
「ここいいかも」
ユウは、とりあえず応接室に来た。
そして、風紀委員のリーゼント達も見当たらないことだし、中に入った。
縦に長い机が2つ(2台?)のソファーに挟まれたような形で、
何だかヤクザ組の事務所のようだった。
「ん?」
入り口から見て、一番奥にある机の上には、書類が何枚か置いてあった。
恐らく、委員長の仕事だろう。
ユウは、自分の制服のポケットから、
黒地に黄色い稲妻模様のシャーペンを取り出し、それを数回振った。
そして、一番上にあった書類の名前欄に「インリンオブジョイトイざらす(^O^)/」と、
訳の分からないカタカナと顔文字を書いて、下の方に潜り込ませた。
そして今度は、風紀点検表を見てみた。
ユウのクラスの点検表の3月24日の欄には「如月 爪長い」と書かれていた。
即刻、ユウはその文字を消し、「違反者無し」と書き換えた。
おまけに、点検表の右端に、「このクラスは優秀です(^^)vてへぺろっ(≧∀≦)」と書き足した。
……バレたら咬み殺されるわこれ。
「……何か、物足りないな〜」
調子に乗り始めたのか、更に悪戯を極めようとしているユウ。
何か良い物はないかと、ポケットに手を突っ込みながら、あたりを見渡す。
「あっ」
机の上に、「風紀委員便りNo.19」の原稿があった。何か企んだようだ。
そして、ポケットの中に偶然入ってた、
「デコ盛りラインストーンシール」なるものを取り出した。
そして何と、ユウは「風紀委員便り」の文字の周りを、
ピンク色と透明のラインストーンシールで囲んだ。
整った文字に、キラキラのラインストーンシールでデコレーション。
実にシュールである。
そして、「新入生が入学します」という見出しの周りに、
一つずつラインストーンを散りばめていく。地道である。
余ったラインストーンは、原稿の所々に散りばめといた。
……そして、三分後には、オシャレな「風紀委員便り」完成。
原稿に日光が当たって、ラインストーンがさらに光る。輝いている。
しかしこのラインストーン、コピー機で読み取れるのか?
出来なかったら書き直し、なんてことになりそうだったが、私に関係無いし……
いいだろう。放っといても。
そう勝手に自分で納得したユウは元の位置に原稿を戻し、
何食わぬ顔で楽器を取りだし、譜面台を立てて、練習を始めた。
*
一時間経過したぐらいだろうか。
真面目にユウが練習してたら、いきなりドアが開いた。美緒か? 大野さんか?
「ねえ……」
ドアの前には、ユウを怖い目つきで見ている、長身の男子が立っていた。
その声とシルエットを見て、ユウは身震いした。
ユウが振り返った先には、
風紀委員長の腕章、いい感じのM字の前髪、厳つーい釣り目。
間違いなく奴であった。
「雲雀さんじゃまいか、どうしたんだい」
軽口を叩きつつも、若干ユウの目は宙を泳いでいた。怪しい怪しい。
「ここで何してるの?」
雲雀の眼力だけで、ユウは、もう脚がガクガク震えだした。だが、ユウは頑張ってこう言った。
「練習すてんれす」
ヤバい噛んだ。しかも何だ「すてんれす」って。
「そう……吹奏楽部、近々大会なんだってね」
だが雲雀は「すてんれす」や「じゃまいか」には何一つ触れずに言った。
それがまた、心に刺さるというか……。
「並中の名に恥じぬよう、結果を残して来てよね」
相変わらず怖い目でユウとクラリネットに視線を向けながら雲雀が言った。
ユウは気付かなかったが、実は一瞬だけ雲雀は微笑んでいた。
「もし、結果が出なければ……咬み殺す」
だが、一瞬にしてその笑みは消えた。
そして雲雀はさっきより怖い目でこっちを見ている。
「分かってますよー……」
それ以上言葉が出てこなかった。
「……僕はここで作業をしているけど、気兼ねなく練習してなよ」
そう言って、雲雀がピンクと透明のラインストーンが輝く
「風紀委員便り」のある机の方へと向かっていった。
やっべー、隠すの忘れてた。
気付いたころにはもう遅かったが。
「……ねえ」
さっきとは明らかに違う低い声で、雲雀はユウの方を見て言った。
多分コレ……バレてしまったみたいだ。
……てへぺろっ!^p^