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＃１８「切断されました」


千華の「Buona fortuna」を最後に、トランシーバーからは雑音だけが聞こえた。無線通信は途絶えたようだ。

「はあ？　え、おい、ちょっと……」

千華の無線が駄目になったものとすれば、他に通じそうな無線を持っているは……

「こちら樫野です、ママン聞こえますか？　どーぞ」

ママン、といっても誰のお母さんでもない。
キャバッローネの若きツッコミ担当、嘉神美咲。

『ママンって言うな！　まだ18歳!!　どーぞっ』

なぜ18歳のピチピチな娘さんがママンなどと呼ばれているのか？
面倒見が良く家事全般を完璧にこなせるので、あのベロニカおじさんからもママンと言われている。

「ターゲットは、西館3階の廊下を東に進んでいるようだぜ、どーぞ」

恵作はポケットから、この敷地内のみ使えるらしいＧＰＳ機能搭載地図を取り出し、マイクに向かって……てか若きママンに向かって話す感覚でマイクに話しかけた。

『え?!　すぐそこなんだけど?!』

その言葉を聞いた瞬間に、恵作は急いで地図を見た。

「Intruso（侵入者）」と書かれたその下に、地図上をやや遅いスピードで移動する赤い印。
その近くには、「Misaki Kagami」と書かれた下にある、赤い印のすぐ近くにある水色の印。

「食われんなよママン！」
『と、とりあえず頑張ってみるよ……』

地図上の赤い印と水色の印の距離が、少しずつ縮まっていく……。

（ヤベえよ……）

亀との距離、30ｍ。

『うわっ、デカい……』



亀との距離、15ｍ。

「美咲……っ！」




亀との距離、7ｍ。

『鎖鎌が効かない?!　……ああっ……』






亀との距離、3ｍ……

『……』
「……おい！　ママン!!　ママン?!!」



そしてついに、




　反　応　が　無　く　な　っ　て　し　ま　っ　た　———