二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 21話改訂版 ( No.69 )
- 日時: 2011/10/29 18:31
- 名前: 北大路 ◆Hy48GP/C2A (ID: dCkmB5Zo)
- 参照: http://c.ly/1nwg
#21「ボスのいない世界@ヴァリアー」
*
「10月31日って何の日ぃ?」と聞いてくる輩の9割は、
「ハロウィンですよ」と言う答えを待っている。そして「トリックオアトリート」等と言って、お菓子をねだる。
要するに、他人からお菓子とか貰えちゃう日である。
中には張り切って、自腹切って魔女の格好や、かぼちゃをくり抜いた被り物とか、オバケのコスプレ等……。
何か変な方向にオシャレをする奴も出てくる。
要は、コスして練り歩いて「お菓子ちょーだい」みたいな。
そんなハロウィンの日に、偶然ボスのいないヴァリアーのアジトの様子を、書きとめた物語である。
*
「ししっ、前置き長すぎだし」
早速毒を吐いたのは、前髪が長すぎて前が見えてるのかどうか定かではない、ベルフェゴール氏ししっ。
笑い方が特徴的な王子様。
「待ちくたびれたぜ……」
サラサラキューティクル、コイツの愛用のシャンプーはおそらく「THUBAKI」だろうか。
おなじみのスクアーロ隊長。
「そういや、今日はハロウィンだよね?」
銀髪の右目が黒で左目が銀色、前髪にやや隠れている左目。
美少年にも見えるし美少女にも見える整った顔立ちの、一応少女。
首には緩く包帯、特攻隊服で腰にはホルスターがついている。
彼女があのスクアーロの妹、サエリ・スクアーロ。サエリと読んであげて。
「こんな日にボスが居ないなんて……」
嘆きのレヴィ・アタン。
「気持ち悪っ」
ポツリとサエリ。結構きつい一言。
実際の所レヴィのことを良く分かってないような所があるみたい。
「み〜んな〜! ハロウィンパーティーやるわよ〜」
そう言って出てきたのは、黒いマントとローブに包まれ、
グラサンにとんがり帽子、そしてモヒカン頭のオカマ。
口調ですぐ分かっちゃうと思うけど、
コイツもヴァリアーの一員、ルッスーリア。
「ししっ、似合ってないし」
あまりルッスーリアの方を見たくなさそうな様子だが、
あんた前髪長いし見えてなくないか?
「ボスが居ないなんて……」
「黙ってー、気持ち悪いんだけどー」
サエリは一瞬、目の前に居るホモ予備軍を睨む。
まだ「忠誠」の範囲内だから大丈夫。
「まーまー、そう言わないの」
ルッスーリアが止めに入る。
真っ黒なマントに赤と金のモヒカンのオカマが、
美少女とオッサンの喧嘩を止めに入るって何だか変な光景。
「だって! キモいんだもん!!」
「でも、レヴィったらボンゴレの霧の守護者の女の子のコト『ピ———』」
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「……バイなんだ」
さっきより明らかに声のトーンが落ちたサエリは、絶望した時のようなな顔で言った。
「う゛ぉぉぉい! パーティーって何すんだ?」
「参加費は必要かい?」
若干ワクワクしてるスクアーロとマーモン。
レヴィはバイ、とかはどうでもいいようだ。てか、どうでもいいよね普通。
「あ、そうそう! お料理沢山作っちゃたの、皆で食べましょ!」
スクアーロとマーモンの方に振り向いた。動きに合わせてマントが翻る。やっぱり変な感じがする。
「料理はどこだ? マグロはあるか?」
スクアーロの目は硝子玉のように光った。少年のようだった。
「カボチャとマグロのカルパッチョもちゃーんと作ってあるわよ! 着いて来て!」
またマントを翻しながら歩くルッスーリア。
「何ー? 美味しそうな匂い……」
匂いに釣られ、サエリもまたスクアーロとマーモンに着いて行った。無言でベルも来た。
「ルッスーリア特性のハロウィンにちなんだ特別料理よー!」
またマントを翻し、ダイニングのテーブルを指差した。
大きなテーブルの真ん中には、オレンジ色のジャック・オランタンが置いてあった。
それを囲むようにして、彩り豊かな料理が並べられていた。
「バイいない……まっ、いいか、いただきまーす!」
サエリは「カボチャとマグロのカルパッチョ」を皿に盛って食べた。
自然と顔がほころんだ。こうやってる時は可愛い。
「うまそうじゃねえかあ!!」
スクアーロも妹と同じように皿に「カボチャとマグロのカルパッチョ」を盛って食べた。厳つい顔にも笑みが綻ぶ。
兄妹仲良く「カボチャとマグロのカルパッチョ」を食べている風景を遠巻きに見ていたマーモンは、「カボチャのパイ」たるものを一口。
「ししっ、これ美味そう」
ベルが気になっているのは「カボチャのカルボナーラ」。
ホワイトソースにカボチャを混ぜているのだろう、クリームは淡いオレンジ色だった。
「……俺、今一人ぼっちなのか? ……ボス、こんな時に」
談話室に置いてけぼりのレヴィは、ご馳走を食べるでもなく、仲間達と雑談するでもなく、変装するでもなく、ただボスを思っていた。
バイとか言われ、少しヘコみ気味の様だった。
これが今年のハロウィンの過ごし方か、と考えると切ないばかりのレヴィだった。
♪Have a nice halloween♪
※「カボチャとマグロのカルパッチョ」や「カボチャのカルボナーラ」が美味しいかどうかは不明。
気になるなら試しちゃいな☆←