二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 嗚呼、笑うことすら赦されない ( No.6 )
- 日時: 2011/07/03 22:01
- 名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: 6B38yoz9)
ふと藤浪の横顔を見たとき、何かが足りないと思った。
凛としていたはずの蒼い瞳は虚ろで、いつも以上にぼんやりとしていて。その原因が何なのか、大方の予想はついていたけれど、本人に尋ねるなんてそこまで野暮なことはできるはずがなく。それに、俺が藤浪にそこまで構う道理だってない。それなのに何故俺は、
泣いて、その心に残っている円堂への想いの残骸を捨てきってしまえばいいと、その瞳を見る度に思うのだろうか。
「いいんだよ、別に」
そう簡単に引き下がって、藤浪は後悔しないのだろうか。恋愛事にはそこまで敏くないが、あっけらかんとその想いを断ち切ったように振る舞う彼女にこちらが物足りなさを感じてしまった。せめて想いを伝えてから区切りをつければ良いものを。
黒い髪が風に揺れる。触れようと無意識に伸ばした右手が、びくりと引っ込まれる。しかし彼女は何の反応も示さない。まるで、俺のことなど視界の隅にも置いていないかのように。
「こーゆー結末になることは、ある程度覚悟してたんだ」
にこりともしない藤浪。やはり辛いんじゃないかと、胸が痛む。どうして俺が悲しむのかなんてわからないし、わかろうともしない。失恋、か。そもそも『恋』なんていう単語自体俺とは縁の無い響きだが、やはり女子には重いものなのだろう。実際、彼女がどれだけ苦しいかは知らないが——何をしても知りえないのだが——最近、めっきり笑わなくなったその表情から藤浪の心情を察することはそう難しくなかった。
「でも、辛いんだろう?」
「まあ、ある程度は。けど大丈夫、もうすぐ笑える」
円堂と秋の笑顔を見て自分も笑えたら、この恋は卒業なんだ。
ほんの少し上がった口角を見て、薄く浮かんだ微笑に気付いて、遣る瀬無い感覚に囚われる。
笑えなんて言わない。だからせめて、
本音を俺にぶつけて、思い切り泣いてくれないか。
そうすれば、きっと俺も上手く慰めながら笑うことができるだろうから。
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いみふめーw
夜のテンションの恐ろしさパネェ。