二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

 らくがきー。 ( No.16 )
日時: 2011/07/08 17:50
名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: SjhcWjI.)
参照: 久遠さんと桃花のお話も書きたい。




 ふわぁ、
 眠気に逆らえず大きく開かれた唇は、女の子らしさを微塵も感じさせなかった。せめて、手で覆うくらいのことはすれば良いのに。頭の片隅でぼんやりとそんなことを考えながらも、そのままで良いと思った。俺は、男らしい彼女が好きなのだ。行きたくないトイレはばっさりと断る、女だからとバカにされても不貞腐れずに相手を見返す結果を残す、あり得ないほどさばさばしていた。その代りだと思うが、全くと言っていいほど甘え方を知らなかったけれど。

「ふじなみー、ねみぃのかー?」
「……別に」

 薄く潤んだ目元をこする藤浪は、また大きな欠伸を漏らした。いつもなら「そうかもー」と生意気な表情で言ってくるのに。こういう時は本当に眠いらしい。根拠? そんなもの、必要無い。

「じゃ、寝てろ」

 誰にも言わないから。そう付け足しても藤浪は、こくんと頷こうとはしなかった。ふるふると弱弱しく首を横に振っては、小さな欠伸を零した。「……やだー」と抵抗もしてくる。まったく、素直に人の好意を受け取ればいいものを。

「やなものは嫌なんです、綱海先輩」

 読心術でもしたのか。そう突っ込もうとした矢先、妙な違和感に気付く。

「また、敬語……それから先輩は付けるなって言ってるだろ?」

 上下関係とか堅苦しいってお前だって言ってたじゃないか。
 そう責め立ててみたものの、返事らしき声は何一つ返ってはこなかった。ほんの少し、寂しかった。