二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

 やりすぎ☆タイガー ( No.44 )
日時: 2011/07/26 15:28
名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: eXBL1K9M)
参照: ※完璧なるギャグなのでお気になさらずw




「あーおーいーさんっ!」

 嗚呼、また来たか。
 そいつの声が耳に届いた途端、反射的に強張る身体を必死に動かす。頑張れ、頑張るんだ藤浪葵! 五感で感じろ、あいつの(どす黒)オーラの気配を察知するんだ!

「練習、お疲れ様ですっ!」
「あ、あぁ……虎丸こそ、ご苦労様」

 聞こえないふりして秋の部屋に逃げ込む作戦、失敗。
 がっちりと捕らえられた右手。巻き付いているのは宇都宮虎丸——僕の天敵の両腕だった。小学六年生の彼は、僕たちとは二歳違い。つーことで侮っていた自分が甘かった。この小六、只者じゃないよ。僕、こいつに勝てないもん。まるで僕の行動パターンを全て把握しているかのように——実際、しているのかは不明だけど——全部先回りされてる。怖い、を通り越して恐ろしい。

「葵さん、ちゃんと俺のこと見ててくれました?」
「……うん、見てたよ。スノーエンジェル綺麗過ぎて興奮した」
「つまり見てないんですね」
「すいません、タイガーストームも見ました」
「俺を見るときに豪炎寺さんを視界に入れないでくださいよ! ……ちっ」
「アイツのこと尊敬してるんじゃないの!?」
「それとこれとは別です。そこらへん、ちゃんと割り切ってますから!」

 にっこり。そんな効果音をつけるのにぴったりな(どす黒い)笑顔。あれおかしいな、小学生はピュアなはずなのに。もちろん、中学生にもピュアな奴はいるけど……円堂とか立向居とか秋とか夏未とか? 一番ピュアなはずの彼が何故、こんなにも黒い?
 まあ、でも……きっと虎丸は寂しいと思うんだ。この歳で病弱な両親と離れるとか、精神面的にも。だからこんな変なこと言って、気を引いてるんだと思うんだけど。

「ところで葵さん」
「はい?」
「俺の嫁に来ませんか?」

 かちん、空気が固まる音がする。

「俺、寂しいの苦手なんですよ。葵さんが隣にいてくれたら楽しいかなぁって!」

 前言撤回。
 やっぱり、ただの腹黒策略家だった。


イナズマジャパンのマネとして世界に旅立った葵さんが、色々なチームに乗り込む長編が書いてみたいw
虎丸はあんま好きじゃないけど、葵に最後の行を言わせたくてこんなキャラにさせてもらった。反省はしているが後悔はして……いるな、うん。