二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 消失アクチュアリティー ( No.56 )
- 日時: 2011/08/02 10:22
- 名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: WtPXn5LU)
生半可な強さほど、虚しいモノは無かった。
だって、なあ、そうだろう? 強い人間には、自分で自分を護り、そして大切な人をも護り抜く義務がある。弱い人間には、そんな世の中の一握りにも満たない強い人間に、護られる権利がある。世界はこの二種類の人によってバランスを保ち、上手く廻っているのだから。
じゃあ、俺はどうだろう?
この脚はずっと、俺を支えてくれた。疾風のようだ、そう評されるスピードは俺にしかない個性で、俺を表すに最も手っ取り早い響きで、俺が唯一認められるモノだったんだ。
だけど俺は今からこの脚で、何をしようとしている? 円堂を傷つけようと、かつて仲間と謳った彼らと貶めようと、救おうと足掻き続けたサッカーを闇に染めそして悪用している。それもこれも、俺のこの生半可な強さのせいだった。俺は、弱くは無かった。だから、周りの人間を絶望させたことは身に覚えが無いし、ある程度自立出来ていた。だけど、別に強くも無かった。自分を護るなんて不可能だったし、この弱さを暴露したら誰かしらきっと、俺の隣に居続けてくれるのではと期待した。きっときっと、この広い世界の中で一人は、俺の為に生命を捧げてくれるのではと、甘い夢を抱いた。自分を護る為だけに生きてくれる人を、心の内でいつでも求めてた。
でも、もう。疾風ディフェンダー、そう褒められたあの日から、どれほどかけ離れてしまったんだろうか。悔しくない、と言ったら嘘になるけれど全てを肯定するには当てはまらなかった。俺は自分を護る為に強くなる。周りなんか、知ったこっちゃない。なあ、お前らは、俺よりも何倍も強いんだろう? こんなふざけた石なんかに頼らなくても自分で自分の世界を護り続けるんだろう? 今日までも、そしてこれからも。俺にはそんな、英雄(ヒーロー)みたいなことは無理だから、だからここにいるんだ。なあ、お願いだからそんな眼で見ないでくれよ。悪いのは誰だ。弱かった俺か? 強すぎたお前らか? それとも、こんな俺に付け込んだわるーい大人達か?
「か、ぜま……風丸、だよな?」
教えてくれよ、
いつも笑顔で幸せそうで無茶を無茶って認識してなくて諦めることを知らなくて人間としての魅力に満ち溢れてて誰もが魅了されてたまに幼くて時々少年で誰も自分に繋げ止めようとしなくて俺みたいな風を追いかけようともしてくれなくていつもあのモノクロのボールばっかり追いかけててサッカーを愛してサッカーからも愛されてきっとこれからも俺なんかよりサッカーを大切にし続けるであろう、
俺だけの、ヒーローさん。
(廻る世界にさよならを告げて、)
+
DE風丸さんが最近可愛すぎる件について。
結局風丸さんは、自分が愛したくて堪らなかった日常と自分の世界を護りきれなくて、記憶から抹消してしまいました。
……みたいな主旨の話が書きたかった。黒歴史最高!←