二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

 僕が神に誓う時はたいてい嘘だから ( No.147 )
日時: 2011/09/04 17:17
名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: EUHPG/g9)
参照: テスト、だと?←



「本当、なのか?」
 酷く弱弱しい声音で訊き返され、これが本当の彼なのかなとほんの少し安堵した。いや、赤の他人である僕が安心するなんて、おかしな話なんだけど。僕の中に描かれた彼は、誇り高く、上辺を大切に思っていて、失敗と自らの死をイコールで繋げてしまうような人だったから。だからこそ、そんな彼の人間らしい臆病な面を垣間見ることができて、安堵の溜息を吐いたのだろう。

 まあ、そんなことどうでもいい。

 僕は鼻で軽く笑ってみせる。無様だね、と彼の口癖を呟いた。もっとも、一番無様なのは僕自身なんだけど。こんなことでしか彼を手に入れられない僕ほど愚かな輩は、他にいないだろう。
 だって僕は弱いんだから。
 だって僕は、堕ちたんだから。
 一方の彼は小刻みに肩を揺らし、か細い呼吸を繰り返していた。嗚呼、まるで最期を迎える直前のようじゃないか!
「本当に、私は、世界へ挑戦できるのか?」
 負けてしまった私が本当に、また円堂守と戦えるのか? 彼は何度もこう訊いてきた。こんな時にまでその名を聞くとは思っておらず。ちょっと悔しくなるも、仕方がない。これしか手段は無いんだから。どれだけ汚いと言われても、ずるいと言われても。僕は悪くないんだよ。
「嗚呼、本当さ!」
 さあこれがとどめだ。にっこりと微笑んで、瞳には優しさを浮かべて、唇からは吐き気がしようが何だろうが綺麗事しか吐き出さなくて、どんなに声が震えようとも耐えて耐えて芯の通った声を響かせて。

「僕が僕に、誓ってみせるよ!」

 落魄れた偽りの神は、そう簡単に嘘を吐く。



シリアスなアフロディ+風介。タイトルは『メガロポリス』様よりお借りしました。