二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

 宙色心中 ( No.174 )
日時: 2011/09/24 12:35
名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: GSdZuDdd)
参照: テストさんまじ鬼畜←



「ねえ、れーな、」
 僕は今の世界に全然満足してないんだけど、玲名はどうなの?

 幼い子供のような、ヤツの純粋で無垢な表情に戸惑う。いったいどうしたんだこいつは。サッカーに熱を注ぎ過ぎてついに頭がおかしくなったか。歪んだ思考回路に苛まれたが、いや待てそう言えばこいつはもともと頭がおかしかったなと一人納得。今だってグランは、にこにこと吐き気がするくらい鮮やかな笑顔を浮かべている。ほら、変わってるだろう? 気持ち悪い、と一蹴してもグランはまだにこにこにこにこ。うざったい。低く告げれば、酷いなあ、とまた笑う。
「……お前がいなければ私の世界は完璧だ」
 それと、もうその名で私を呼ぶな。小声で付け足せば、でも、と何かを言いかけるグラン。きつく睨みつければ、黙らせることなど簡単だった。呆気ないほどに。
「僕は今、すっごい計画を考えてる訳なんだけど、あとは玲名が泣きながら頷いてくれれば成功なん、」
 だ。
 そんな戯言、全て言わせるものか。ぐぇっ、と唸るグランはそれでも笑顔。嗚呼、何て鬱陶しい。今の世界に満足していないなど、私が言えるはずないだろう。そんなことを言えるのは、
「グラン、おまえはそれを知っていてそんな戯言を吐くのか?」
「…………え、」

 おまえは父さんに愛されてた、その軌跡の中で生きてきたから言えるのだ。
 私にとっては只の、死の宣告でしか無いというのに。

「いや、僕結構マジメなんだけど」
「お前はその生き様自体ふざけてるだろう」
「え、バレた?」
「…………」
 嗚呼でもそう怒らないで。一回くらいちゃんと聴いてくれたって良いじゃないか。良いでしょ、玲名?
 穏やかに話し出すグランには吐き気がする。本当に私はお前が苦手だ。そのはずなのに、なあ。
「ここで結ばれないなんていうのはわかってるから、僕と一緒に此処を飛び出さない?」

 何を言い出すかと思えば、

「グランとウルビダを殺めて、ヒロトと玲名を捜しに行こうよ」

 そんな戯言を繰り返すばかりで、何一つまともなことなど述べていないじゃないか。嗚呼、今更そんな言葉が赦されるとでも思っているのか。それ、とも。

「…………ひろ、と」

 自分は赦されてしまうのだと、最初から知っていたのか?
 だったらそれは、あまりにもずるすぎるぞ。私はこうして——すぐに騙されて、信じてしまうのだから。


(  、来世で結ばれましょう!  )