二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   望郷ノスタルジア  [ inzm11短編集 ] ( No.75 )
日時: 2011/08/08 23:18
名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: AuasFZym)
参照: 合作楽しそうだなぁ……


 とん、と誰かの手が私の肩に掛けられる。突然のことだったから、私は思いきり驚いてしまった。誰、と尋ねる前に振り向く。穏やかな微笑、ラベンダー色の綺麗な髪、柔らかい声色——嗚呼、彼女か。
「あ、ごめんなさい……驚かせちゃって、」
「別に良いのよ。気付かなかった私のせいだから」
 控えめな態度は、彼女の儚さをより一層引き立てた。静かで、脆くて、儚くて、そして美しい貴女は最近、彼の隣で見かけることが多い。そっか、幼馴染だものね。きっと仲が良いのよ。友情とか、そういう類で。だって——円堂くんが惹かれているのは、貴女じゃないんだから。
「夏未さん……もしかして守くんのこと、見てたんですか?」
「え? あ、いや、その……まあ、そうね」
「やっぱり。守くん、好かれやすいから」
 淡々と紡がれる言葉。本音を零せば、私は円堂くんを見ていた訳じゃない。秋さんと笑い合う円堂くんを眺めていただけ。彼のことは好きだけど、私はそれ以上にあの二人が好きなの。……なんて言っても、貴女には伝わらないでしょうね、冬花さん。
「貴女も円堂くんのこと、好きなんでしょう?」
 ふと気になり、自然を装って尋ねてみる。答えはきっとYesなんだろうけど、そんなのどうだって良いもの。彼を想うのは自由。けれど、彼から想われていいのは秋さんだけ。そうでないと私、許せないわ。
「私ですか? そうですね……夏未さんと一緒だと思います」
「え? 私と?」
 予想していなかった回答に戸惑う。はっきりと宣言しない限り、争うつもりはないのかしら。
「そう言えば最近、守くんいっつも秋さんと一緒ですよね」
「……そうかしら?」
 彼女の瞳が少し切なげに揺らいだ。あ、やっぱり貴女も彼のこと——想像し掛けてやめる。こんなこと考えてたらキリが無いわ。私が応援するのはあの二人だけ。この事実さえ把握していれば、それで十分。
 ふと冬花さんの唇が開き、何かを言い掛け、そして閉じ——ゆっくりと、告げられる。

「どうして、夏未さんがあそこにいないんですか」

 世界が、止まる。
 何故、貴女がそんなことを言うの?——尋ねようと冬花さんのほうへ振り向いた時、もうそこに彼女の姿は無かった。「そう言えば、ドリンク切れてるんでした」、そう呟きながら揺れる背中をぼんやりと見送った。
 好敵手は多いわね。グラウンドを眺めながら先を思いやり、溜息を吐いた。勿論、それだけで心の靄が、晴れるはずもない。



らくがっきーでしたー。
夏未さんは円秋信者だったり。でも冬花は円夏プッシュしてると言うね! 俺得以外の何でもないです。夜のテンションのせいです。
……それで秋は、冬花に円堂奪われるのは仕方ないかなってちょっと諦めてれば尚面白い(やめて!