二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 第七十六話 最高のコンビネーション ( No.206 )
日時: 2012/11/16 19:05
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: 57S6xAsa)

シオンが雪の上にドサリと落ちる。
首のヘッドホンは折れ、首から外れていた。出血しているのか、雪に赤色が滲む。
まだ生きているようだが、意識はない。危ない状況であることは確かだ。
「ちっ、邪魔が入ったか…だが、次は逃げられへんで」
クルサは舌打ちするが、すぐに笑みを取り戻す。チヅルが少し怯えるような表情を見せた。
だがこの時、二人の男の心に、怯えなどなかった。あるのは怒りのみ。
「ウェイガさん、チヅル、シオンさんを頼む」
レオはチヅルの方を見ず、言い放った。
「え、でも…」
「大丈夫だ。俺たちで何とかする」
チヅルは戸惑ったが、キラもシオンの手当てを促す。
チヅルはまだ戸惑っていたようだが、それでもシオンの元へ下がり、コーシャンを出し、シオンの体を温める。
「はあ? 三対一で勝てへんのに、二体一で勝てるとでも思ってんのか?」
クルサが嘲笑する。だが、レオとキラはそれに答えなかった。
「頼むぞ、リーテイル!」
「行くぜ、タテボーシ!」
二人のエースが、勢いよくボールから飛び出す。
「ぶひゃははは、しかも相性悪いやないか! 片腹痛いわ、速攻で決め——」

「黙っとけよ」

レオの言葉に、思わずクルサが怯む。だが、すぐに自我を取り戻し、
「まあええわ。フリーザー、アイス——」
「リーテイル、生い茂る!」
フリーザーが氷の衝撃波を放とうとするが、その前にリーテイルはフリーザーの下の草木を生長させてフリーザーに絡ませ、動きを止めてしまう。
「よし、キラ!」
「おう!」
この言葉だけで、二人の作戦は通じ合っていた。完璧だった。
「行くぜ相棒! タテボーシ、ハイドロカノン!」
タテボーシは水の巨大な砲弾を作り上げ、動けないフリーザーに向けて放つ。
動けないフリーザーに直撃、流石のフリーザーでも大ダメージを負って吹っ飛ばされる。
「ぐっ、フリーザー! 立て直せ! 心の目や!」
それでもフリーザーはまだ倒れていない。タテボーシが動けない隙に、目を光らせてタテボーシを見据える。
「これで終わりや! 絶対零度!」
「レオ、後は任せたぞ!ハイドロカノン!」
フリーザーは零下273℃の極寒の風を起こし、タテボーシは再び水の巨大な砲弾を発射する。
だが、絶対零度は水の砲弾すら凍らせ、タテボーシも凍りつき、一撃で戦闘不能となってしまう。
「後は任せろ! リーテイル、生い茂る!」
再びリーテイルは植物を成長させ、フリーザーの動きを封じる。
「同じ手は聞かん! アイスバーン!」
フリーザーは氷の衝撃波を放ち、自分に絡みつく蔓を吹っ飛ばす。
だが、このわずかな隙さえあれば、レオにはそれで十分だった。
「リーフブレード!」
アイスバーンが消えたその瞬間を狙って、リーテイルは猛スピードでフリーザーに接近、次の瞬間には尻尾の葉でフリーザーを斬った。
急所に当たったのか、フリーザーがぐらつく。
「終わりだ! リーテイル、ドラゴンビート!」
リーテイルは龍の心臓の鼓動のような音の衝撃波を起こし、フリーザーを吹っ飛ばす。
フリーザーは地面に落ちた。戦闘不能となっていた。
「フリーザー! …ちくしょうが。やっぱ自分が育てたポケモンやないと駄目やな」
悪態をつき、クルサは右腕から『リモコン』を外す。
「ま、とりあえず実験成功やな。これでガタノアを操る、と。ボスも大それたことを考えるもんやな」
独り言を呟き、クルサはレオたちを見る。
「さ、これであっしらの準備は全て整った。あとはガタノアの居場所を突き止め、『ゲート』を使ってガタノアを呼び寄せ、『リモコン』で操り、世界を恐怖の闇に陥れる。ま、せいぜい足掻いとくんやな。それではこれにて! じゃあね!」
クルサは猛スピードで走り去っていった。


レオたちはポケモンセンターに戻る。
シオンは一旦ポケモンセンターに運ばれて応急措置を受け、その後、病院に搬送された。チヅルとウェイガがついて行った。
フリーザーはポケモンセンターで治療を受けている。こちらはすぐに治りそうだ。
唐突に、レオとキラのライブキャスターが鳴る。相手はチヅル。
「チヅル、シオンさんの容体はどうだ?」
『うん、命に別状はないみたい。足の怪我がちょっと大きいみたいだけど、一応二、三日で退院できるって』
「そうか…ならよかった」
チヅルからの言葉はそれだけだった。
二人はポケモンセンターを出る。雪は止んでいた。
レオは元気がない。シオンの怪我がやはり気がかりなのだ。
そんなレオを見かね、キラがレオの肩を叩く。
「元気出せよ。シオンさんが怪我したのはお前のせいじゃない。お前が落ち込むことなんかねえよ」
「そうか…」
だが、それでもレオはなかなか元気を出さない。
キラはため息を付くと、モンスターボールを取り出し、
「…これしかねえよな」
再びレオの肩を叩く。振り向いたレオに向かって、モンスターボールを突きつけた。
「気分が晴れないときはこれに限るだろ、レオ、ポケモン勝負だ。六対六の、フルバトルだ」



よし、一日で二話更新できた。今回はフリーザー撃破、さらにシオンとフリーザーの治療です。そして、キラとレオのバトルフラグ。しかもフルバトルです。フルバトルはまだ(前作でも)一回も書いてないんですよね。長くなると思いますが頑張ります。さて、次回はレオ対キラ。それでは、次回もお楽しみに!