二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 夏目友人帳 零 ( No.6 )
日時: 2011/07/25 18:20
名前: 凪 (ID: ObYAgmLo)

◆——姿なき妖——◆


みごとな真夏日和。どこに耳を傾けても蝉の鳴き声がした。蒸し暑い日。まるでサウナにいるようだった。
(溶けていないことを祈ろう……)
夏目貴志は自分の手元を見た。手元にはアイスが4個入った箱がある。
近所にアイス専門店が出来たとかで行ってみたのだ。試しに持ち帰れるよう、カップに入ったアイスを買ってみた。自分自身と二ャンコ先生、滋さんと塔子さんの分だ。
「おい、夏目!いつ食えるんだッ!」
夏目の隣では二ャンコ先生が跳ねていた。
「それは俺でも分からないよ」 
夏目が苦笑いしながら言った。しかし、まだニャンコ先生は跳ねている。
「あ、先生の足元に石「ふごぉッ」
夏目の声はニャンコ先生には届かず、むなしくもニャンコ先生の体はコンクリートに叩きつけられたのだった。


 * * * *

歩いていると、自分の家が見えてきた。
だが、表札の前に何かがいた。やたらと首をきょろきょろとしている。
どんな姿をしているのかは分からない。夏目は立ち止まった。
「どうした?」
ニャンコ先生も立ち止まり、夏目に聞いた。
「玄関に……何かいるんだ」
夏目が玄関を見ている。ニャンコ先生も玄関の方を見た。
「あれは〝さずな〟だろう」
「さずな…?」
「あぁ。元々は森に住む妖で黒い布を被り、若い女の姿をしている。だが、体が消えかけておるな」
「何かあったのか?」
「知らん」
ニャンコ先生の即答。夏目はため息をついて歩き出した。ニャンコ先生も後から追う。
「強力な妖力を持つ妖ではない。話しかけるのが妥当だな」
「そのつもりだよ」