二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: どうぶつの森〜どうぶつ村の軌跡〜 ( No.5 )
- 日時: 2012/01/08 20:20
- 名前: るきみん (ID: JryR3G2V)
プロローグⅣ
「なんだ〜、じゃあみなみさんはぼくのことを売人だとおもったんだ〜!」
ケラケラケラ、と声を上げて笑う猫さん。
「だってほんとにそうおもったんですもん」
ぶー、と頬を膨らます。
「ごめんごめん、ついね」
クスクス、まだ笑いは収まらない。
「その話はもういいです!それよりお母さんの話を聞かせてください!」
そう、さっきこの猫さんに聞いたのだが、この猫さんはお母さんと交流があるらしい。
なんでも昔同じ村に住んでいたとか。
「うん。そうだね。少しはみな穂から聞いてると思うけど・・・ぼくは昔みな穂と同じ村に住んでいてその村がどうぶつ村さ」
うん、それぐらいならわかる。
「でね、そのころのどうぶつ村は悲惨で、もうほとんど廃村だったんだ」
「どうゆうことですか?」
「住む人もいないで、ひどい過疎化地帯
だったってことさ」
ふむふむ、と相槌を打つ。
「ぼくはそのころどうぶつ村に住んでいた数少ない一人でね、ぼくのほかには10件ぐらいしか家はなかった」
どこか懐かしむような口調。
「でも、そこにみな穂・・・君のお母さんが来たんだ」
猫さんは私のほうを指差す。
「彼女はすごかったよ、過疎化が進んでもう破滅を待つしかないとさえ言われていたのに、一から立て直していったんだ」
あのお母さんの行動力ならうなずける。
「最初は、みんなバカにしていたよ。そんなことできるわけがない、もう何をしても無駄だってね。でも彼女はあきらめなかった。村の雑草を抜き、花を植えて見た目をきれいにして、そんな活動をしていくにつれて、彼女をバカにする人は減り、手伝う人が増えていった。村に住み始める人も増えていったんだ」
「さすがお母さん、そこまでするなんて」
昔から人をひきつける魅力を持つ人だったけどそこまでだったとは。
「そして、どうぶつ村は見事に再建したんだ」
「やったー!廃村になりかけた村を救うなんて、お母さんかっこいい!」
「・・・でも、そんな幸せ長くは続かなかった」
「え?どうゆう事?立て直したんじゃなかったの?」
「たしかに、建て直しはした。でも、目立ちすぎてしまったんだ」
「???」
ますます意味がわからない。目立つのならいいじゃないか。宣伝にもなるし。
「みなみさん、こう言えばわかり易いかもしれない・・・土地開発」
「・・・あ」
よく、テレビのニュースなどでやっているのを見る。
森などを破壊して、人間も住む場所を増やすことだ。
「そう、どうぶつ村は目立ちすぎた。それは人間の目にも留まるほどに。もともと悪い場所じゃなかったんだ。空気は澄んでいたし、水はきれいだし、眺めもいいし」
それは、わかるかもしれない。いまのところは森や山しかないが。
「人間は自分勝手にも、ぼくらの村を渡すようにといってきた」
「ひどい・・・」
ひどい、と言う自分も人間であることに、無性に腹が立った。
「ぼくをはじめる、村のみんなは諦めかけていたさ。でも、みな穂は諦めなかった」
猫さんはこっちを向いてにっこりわらう。
ズキリ、と心が痛む。
「いつまでも戦った。その間に何人の仲間が去って言ったか。15年経つ今でもあいつらの言葉を思い出せるよ」
ふふふ、と無理に笑う猫さんをみてみなみは悲しくなった。
「その結果ぼくらは勝った。どれぐらい戦ったか・・・正確にはわからない。それだけ粘っていたんだ。そして人間はいつまで経っても譲らないぼくらに根負けしたんだ」
今度は本当に楽しそうに、
「そのときのあいつらの顔ったら・・・」といっている。
「・・・・」
みなみは何も言えずにただ聞いていた。
「でも、だめだった。ぼくらは勝ったはずなのに、負けたんだ」
「どうしてですか?」
勝ったんじゃなかったのだろうか?
「いや、風評被害さ。戦いが長かったからってこともあるが、村が壊される対象になってしまったせいで、だれもそこに住まなくなった」
「な、なんでですか!?いい場所じゃなかったんですか!?」
水も景色も空気もいい場所だと言ったはずだ。
「ああ、確かにいい場所だ。でも、また壊されるかもしれない場所にお金を払ってわざわざ家を建てるかい?」
「それは…住まないかもしれませんけど…でも!」
「もういいのさ。僕らは負けた。そのあとはそこから出るしかなかったんだ」
みしらぬ猫の悲しそうな顔を見ていると、みなみまで悲しくなってきた。
「で、でも…!」
ポロリ、ポロリと涙の粒が頬をつたって落ちていく。
きずかないうちにみなみは泣いていたようだ。
だがそんなことも気にせずにみなみは続ける。
「別にそこであきらめなくてもよかったじゃないですか!風評だったらそれ以上にいい所を紹介すればいい!諦めるだけが選択肢じゃなかったはずです!」
ただ、それしかいえなかった。みなみもいったことは正論だ、しかし、いつでも正論が正しいとはかぎらない。
みしらぬ猫はかなりびっくりした様子で。
「そう、だね君の言ってることは正しい。でも、ぼくにはそれができなかった…」
それからみしらぬ猫は黙ってしまった。
「やっぱり君ら親子はそっくりだ」
みなみ「え?」
唐突に、みしらぬ猫は唐突にそんなことを言ってくる。
みなみは頬の涙を拭きながら聞き返す。
「優しいところ、強情なところ、そしてなにより、人を引き付ける不思議なところ」
「そ、そうですか?」
お母さんならともかく、私にそんなことあるだろうか?
「君なら・・・救ってくれるだろう」
「どうぶつ村を・・・ですか?」
みしらぬ猫はなにもいわずに頷く。
「…がんばってみます」
「どうぶつ村〜どうぶつ村だっぺ〜」
「ちょうど着いたみたいだね」
「あのっ、いまのどうぶつ村は…?」
「救いを求めている…とだけいっておこう」
そう言ってにっこりと微笑む。
「はい!」
できる、なぜかそう思えた。
お母さんができたのに、私ができないなんてことはないだろう。それに、失敗して家に帰ったらお母さんに合わせる顔がないし。
お母さんに怒られるのは御免だ。
どうぶつ村、私が救ってみせる。
この身に変えても・・・って言えば大げさだけど、絶対に救ってみせる。
だって、
私はお母さんの娘なんだから。