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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 安堵の言葉 ( No.77 )
- 日時: 2011/08/22 17:37
- 名前: ゆう ◆Oq2hcdcEh6 (ID: PdhEocoh)
「——豪炎寺、君?」
ふわりと、病院特有の薬品の香りがする。とある病室から現れた豪炎寺君に思わず声を掛けてしまった。豪炎寺君は驚いたように此方を見、小さく首を傾げて見せた。
「何で此処に——?」
「ああ、あのね、薬を取りに来たついでに先生に顔出そうと思って、」
「薬? 、どうして」
「ちょっと風邪気味でさ、」
くすくすと笑えば気を付けろよという温かい言葉が聞こえた。分かってると笑み、豪炎寺君に何で此処に居るのか尋ねる。
「豪炎寺君こそ、何で此処に?」
「、妹が事故に遭ったんだ。もう意識もあるけどな」
だから心配しなくていいと笑む豪炎寺君。妹さんのことが心配なのか少し顔を曇らせている。——心配しなくていいと言われても、心配してしまう表情だ。もしかして無自覚? くす、と口許を緩めると豪炎寺君はいかにも不審げな目を向けてきた。——おおう、怖い。
何でもないとはぐらかせば、顔をがっちりと手で挟まれた。その目は「絶対何かあるだろ」と言っているようにも見えて小さく吹き出してしまう。
「人の顔見て笑うなんて失礼な奴だな」
むぎゅっと頬をつままれる。うにゅー、なんて言葉にならない言葉を発しつつ少し楽しげな豪炎寺君に小さく笑んだ。
「よかった」
その呟きはきっと彼には聞こえていないんだと思う。
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