二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- [011] ( No.107 )
- 日時: 2011/08/25 18:26
- 名前: ゆう ◆Oq2hcdcEh6 (ID: PdhEocoh)
ポン、ポーン。
軽くピアノの音と、バシッという激しく何かが壁に当たる音がする。ミシ、という嫌な音と共に壁は崩壊した。
「あーあ、またやっちった」
「、隼人、いい加減にして」
隼人、と呼ばれた左目に眼帯をする少年は桜架の言葉にはいはい、なんて適当に頷いてからそのボールを思い切り亜美へと蹴る。軽くトラップし、それを少しリフティングしてからそれを思い切り蹴り返す。隼人は「あぶねっ」と小さく叫び、横に飛んだ。
見事それは隼人の後ろで本を読んでいた少女に当たり——はしなかった。少女を逸れたボールはさらに回転を増して破裂した。
「亜美まで……!」
「、亜美さん、これ危ない」
破裂したボールの破片らしきものを拾い上げて、先程まで読書をしていた少女が無表情で立ち上がると亜美へとそれを突きだす。嗚呼、ごめんねなんて適当に謝罪しながらそれを受け取った亜美は徐にそれを引き裂いた。
「亜美、そろそろ練習試合の時間だぜ」
「……桜架、何処が相手?」
「何でも、お父様がジェネシスより強く世界で最も強いと噂されているチームだって」
「天空の使徒より、——魔界軍団Zより?」
さーあね、と軽く返しながら桜架は歩き出す。亜美がゆっくりと後ろに続く。気が付けば亜美の周りには亜美含め7人の少年少女が集まっていた。亜美を含め3人が女子、残る4人が男子である。
漆黒をベースにしたそのユニフォームは新品らしく汚れも皺も一つも無いものになり、右目には何故か医療用の眼帯が付けられていた。俺と被る、と隼人は文句を言うがそれを無視して亜美は歩き出す。
「これより、練習試合を始めます!」
真新しいユニフォームに身を包み、世界の裏の覇者と呼ばれるそのチームのキャプテンは笑みを浮かべた。亜美と戦うのは、始めてではない。寧ろ二度目だ。
「……もう、負けませんから」
「ふふ、やれるものなら」
世界の裏の覇者こと、亜美の本当の父親はくすりと笑った。銀色の髪と赤い瞳。まだかなり若いとも言える容姿をしており、容姿だけを見るとまだ20代——学生でも通じるほどである。どうやら、赤い瞳は父親譲りのようで。亜美は既にこの人物が父親であることを知っている。亜美が昔——大体、7歳の頃——戦った時は、11人を相手に1人で1点差まで追い詰めたほどにまで亜美は強くなっていた。が、勿論進化はまだ続く。
亜美の覚えられる必殺技は1つには収まりきらない。所謂、コピーという能力のようなものを持つのだ。
ピーッ!
試合開始のホイッスルが鳴ると同時に亜美は駆けだした。ほかのメンバーはその場に突っ立って雑談だの何だのとしている。その様子に亜美の父親——幸也は軽く目を見開いた。敵陣に突っ込んでくるのは亜美だけだからだ。
にやり、と亜美の口角が吊り上る。
「さあ、始まるよ」
「お、漸くか」
「亜美さんには誰も勝てない……」
「、あ、でも香奈さんは一回シュート止めたよね」
「でも香奈さん、もう居ない」
「——亜美さんには、例え父親であろうと勝てないよ」
「さあ、始めようか——私のサッカーを、ね」
『だって亜美さんを強くしたのは、たった一つの復讐心だもん』
*
最強? いいえ、最強ではありません。
強いけど最強じゃないんです。最強はこの小説には出てきません。←
ややうちの子可愛い主義なんで最強っぽくしてありますけd(((