二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

 [013] ( No.118 )
日時: 2011/08/26 18:19
名前: ゆう ◆Oq2hcdcEh6 (ID: PdhEocoh)


「ほへえ……ばたふらいどりーむ、ねえ」
「私も彩音とやりたーいっ」
「あはは……あたし、運動できないんだよね」

 あははー、と笑う彩音にティアラが残念そうに頬を膨らませる。瑠璃花が近づいてきて、「彩音もやればいいのに」なんて言ってくるものだから遠慮しとくね、とだけ返しておいた。
 練習を始める塔子とリカの様子をのほほん、と見守るも——バシッ。

「うぁっ!?」
「……つ、綱海さん大丈夫!?」

 知った声が聞こえれば思わず其方に駆け出してしまっていた。サーフボードが当たった綱海は痛そうにしていたものの、塔子の元へ来ればぽん、と肩に手を置いてはにかんだ。

「さんきゅ、」
「——いや、あの」
「ちょうどいい波が立つ時間なんだ。——って、彩音!?」

 あのー、と苦笑する彩音に綱海は驚いた様子をしている。当たり前だ。つい数日前に知り合った少女が其れよりも後に知り合った人物と仲良さげにしているのだから。彩音は苦笑を浮かべたまま、「元々の仲間なんですよー、」なんてのほほんと紡いでいる。
 綱海は納得したように笑み、じゃあなと去っていく。彩音は良いのかなあ、という罪悪感が芽生えたものの本人が良いと言っているので放って置くことにした。

「——条介に彩音はやらないからねっ」
「? ティアラちゃん、何か言った?」

 ティアラの呟きが聞こえなかったのか彩音はこてん、と首を傾げるばかりだった。リカもリカでにやりとしているし、彩音はきょとんとした表情のまま綱海を見送っていた。





「——」

 ばたん、と激しくドアの閉められる音がする。その音にいち早くヒロトが反応し、いったん会話を辞めた。次いで風介、晴矢も音のした方向へ視線を向ける。大体誰かは理解していたのだが。

「……やあ、亜美。試合はどうだった?」
「、今は亜美じゃない」
「ごめんごめん、アレンだったねえ」

 で? と尋ねてくるヒロト——基グランに亜美ことアレンが溜息を吐く。弱かったさ、とだけ答えると自身は壁に寄り掛かった。薄い灰色の光がアレンを照らす。全ての姿がぼやけるその空間でアレンはゆっくりと口を開いた。

「あぁ、圧勝だよ」
「……流石と言ったところか」

 当たり前だろう、とでも言うかのような口ぶりに風介ことガゼルがそう紡ぎ出した。亜美の実力とあのチームの連携を用いれば世界の頂点に立つことも安易なものだろう。エイリア学園では最もジェネシスに近いを囁かれてもいる。——実際には違ったのだが。アレンはゆったりとした笑みを浮かべ、晴矢——バーンを見据えた。

「それじゃあ私はこれで失礼する。練習も終わってない。あと——」

 ゆっくりと、バーンの耳元で何かを囁く亜美。にやりと笑みを刻んだバーンを亜美は満足げに見てから、ドアを開けた。バタン、とやはり激しい音が響き渡ったかと思えば、その場からは既に全員の姿が消えていた。