二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- [015] ( No.126 )
- 日時: 2011/08/27 11:13
- 名前: ゆう ◆Oq2hcdcEh6 (ID: PdhEocoh)
炎のストライカーって言う人が凄い技を見せてくれた。でも、違う……本物は豪炎寺君なのに! 何処の学校の生徒かと監督が尋ねた時、不意に頭上から声がした。聞き覚えがあるような、そんな声。
「エイリア学園だよ」
「っヒロト!」
「待て、円堂!」
駆け出そうとした円堂君の腕を鬼道君が掴んだ。ヒロ、ト。聞き覚えのある名前。そうだ、ずっと昔に聞いた——お日さま園の、人? 亜美ちゃんがよく話に出していた気がする。どれも良い話じゃなかったけど、でも、——聞いたことも、見たことも、ある人。
呼吸が上手くできない。頭が痛い。ズキン、と何処かが痛む。言葉にならない呻きが零れ、あたしはその場に蹲った。彩音、とティアラちゃんがあたしを呼んでいるのが聞こえる。ずきずきと頭の痛みは増すだけで。
「あーあ、ったく、邪魔すんなよ——グラン」
「雷門イレブンに入り込んで、何をするつもりだったんだ?」
会話が、耳に入る。ぐらん、という言葉に聞き覚えは全くと言って良い程無いのだが、その場に居る二人の声はやけに覚えがある。あたし、まだ全部思い出してないのかもしれない。
やんわりと収まり始めた頭痛に、いまだ米神を抑えながらもあたしは立ち上がった。一瞬だけ、ヒロトという人が眉を寄せたようにも見えた。
「騙されちゃだめだよ、円堂君」
「——騙されているのは君の方だと私は思うけどね」
『!?』
ふわりと黒い衣を翻して現れたのは——亜美ちゃんだった。やけに冷たげな目をしていて、右目には医療用の質素な眼帯が着けられている。ヒロト君を睨むような目で見れば冷たげな笑みを浮かべた。赤い髪の人——ヒロト君とは別の——の後ろで笑っている。
「、遅ぇ——アレン」
「はいはい、ごめんねバーン。ガゼルとアイスを掛けて勝負をしてたんだ」
「下らねぇことやってんじゃねえ」
軽く会話を繰り広げる二人を見て、体が凍り付くのが分かった。ラティアさんが眉を寄せている。が、何も言わないということは二人の関係を知っているのだろう。あたしはティアラちゃんと一緒に首を傾げた。あの二人、仲が良いんだ。でも、会話を聞く限りは仲よさげには見えない。
「、いい加減にしなよ、二人とも」
「——いい加減にするのはお前たちじゃないか」
ゆっくりと、亜美ちゃんが笑みを浮かべる。淡々と言葉を発する亜美ちゃんに、ヒロト君とバーン君? が眉を寄せる。
「———の座を争って馬鹿みたいに」
「っせーな、それはお前もだろ」
何の座? 小さくて聞こえなかった呟きに、ティアラちゃん達はどうやら分かったらしく、亜美ちゃん達を見詰めていた。亜美ちゃんは不意にバーン君が持っていたはずのサッカーボールを蹴る。一瞬の強い光の後、其処に残っていたのは亜美ちゃんだけだった。
「亜美!」
円堂君が駆け寄る。その前に円堂君を邪魔するようにラティアさんが駆け寄った。しかし、亜美ちゃんは顔を顰めているだけで。
「放って置いてよ!」
強い言葉と共に亜美ちゃんがその場に倒れた。良く見れば、足には大きな傷。どうしたの、と言う前に素早くラティアさんが指示を出した。
「すぐに運ぶわよ」
何故か監督が目を見開いていた。監督はきっと、何か知っているんだと思う。直感、——違う、確実に。どうして言い切れるかは自分でも分からないけど、あたしは監督を見詰めて小さく首を傾げた。
*
気付き始める彩音、とか。
シリアス一直線。