二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

 [003]  ( No.16 )
日時: 2011/07/19 19:00
名前: ゆう ◆Oq2hcdcEh6 (ID: /HyWNmZ0)

【 帝国学園/雷門イレブン 】


「——う、そ」

 呆然と呟いた彩音の頭には、様々な感情が渦巻いていた。




「久しぶりだなァ? 彩音チャン」
「……ふ、ふど、う?」

 かたかた、と震える体。彩音の薄いピンクの瞳に映るは、目の前でにたりと笑う一人の少年だった。ティアラは座り込んだ彩音の傍に駆け寄り、円堂達が不安げに彩音を見つめている。
 彩音は己の身を守るかの如く自分を抱き締め、震える唇で「……ど、うして此処に、」と信じられない様な声音で呟いている。あまりにも悲惨な姿にティアラが眉を寄せ、彩音にどうしたのか問い掛ける。

「ふど、はっ……不動は、あたしの、」
「兄——だよなァ?」
「!! それは本当? 彩音、」

 信じられないと言った表情のティアラの言葉に彩音がこくりと頷く。真っ青な顔の彩音の様子を何処となく楽しんでいるかのような不動をティアラがきっと睨みつけた。

「ま、殆ど他人に等しい関係だけどな」

 何処か哀しげな声音でそう呟く不動に、ティアラは首を傾げる。彼女は、彩音と不動の関係を深く知る者では無い。それに、家族と聞いた瞬間に思い浮かぶのは自分の双子の妹のことだった。無闇に詮索するのは、彼女も嫌がるであろう事だと感じ敢えて何も言わないことにした。

「どういう事か良く分かんねえけど、取り敢えず行こうぜ!」

 ぐい、と彩音の手を引っ張る円堂。
 そして状況に気付く。此処は帝国学園、——目の前には不動と、源田に佐久間、だ。何処か様子の違う二人に雷門イレブンは眉を顰めた。


( 真実は衝撃 )


*


【 ヘブンズガーデン/亜美、ラティア 】

「——此処、何処なのよ」

 雷門イレブンが大変なことになっている頃。ラティアは、亜美に連れられて外国まで足を運んでいた。何処の国なのかは敢えて語らない亜美だが、ラティアは見たこともない風景に首を傾げていた。
 だが、ラティアは天才ゲームメーカーである。あくまでも冷静さを突きとおし、楽しげに笑っている亜美を横目でまるで睨むかのように見つめていた。

「教えてくれたって良いじゃない」
「——簡単に言えば天国かなあ……此処には天使の血を継ぐ人々が住むの。ヘブンズガーデンって呼ばれてる」
「聞いたことがあるわ。ライオコット島にそういう伝説があるって。つまり此処は、ライオコット島?」
「流石。頭の回転が速いね、御名答、だよ。此処はライオコット島」

 にこ、と端正な笑みを浮かべて見せる亜美に、ラティアは何が目的か尋ねる。亜美は笑みを深めただけで、答えようという素振りも見せない。珍しく苛立ちの混じる表情を浮かべるラティアに、亜美は一言だけ呟いた。

「——千年祭の余興の為だよ。セインに会いに来ただけ、」
「亜美は、……天使の血を継ぐの?」
「継いでないよ。私は人間。セインとは色々合って知り合いなだけ」

 ほら、行こうよ。
 亜美は益々笑みを深め、ラティアの手を取った。


( 謎は深まるばかり、 )





***
彩音は不動の妹です。俺得だね!←
亜美は天使より悪魔っぽいし(笑) 取り敢えず、ミステリアスだと良いかなあ、