二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- [004] ( No.22 )
- 日時: 2011/07/19 21:30
- 名前: ゆう ◆Oq2hcdcEh6 (ID: /HyWNmZ0)
【 真・帝国学園/雷門イレブン 】
「——試合、開始」
ホイッスルが鳴り響く。
真帝国学園VS雷門イレブンの試合が遂に始まる。実況の角間が言っている言葉も、彩音の耳には届かない。キックオフは真帝国からで、不動が走り込む。ボールを蹴る音が、今は不協和音にしか聞こえなくなってきた。
「佐久間、見せてやれよ! お前の力を!」
ボールが佐久間に渡り、佐久間が真っ直ぐに円堂を見据える。円堂が佐久間の只ならぬ気迫に、ごくりと喉を鳴らして構えの形を取る。佐久間が気合いを入れるかのごとく叫び、ぴゅう、と笛の音が鳴る。鬼道が焦ったような声を上げ佐久間を止めに行くも時既に遅し、地面から現れた赤いペンギンが振り上げた佐久間の足に噛みつく。手を伸ばした刹那の出来事に、鬼道が呆然と佐久間を見る。
皇帝ペンギン1号と名付けられるその禁断の技は、佐久間の足を確実に崩壊へ導く。それでもやめない佐久間の瞳はぎらぎらと狂気が纏わりついて離れない。ゴッドハンド、と手を出す円堂だが、赤いペンギンが指に刺さり、あまりにも強いパワーにゴッドハンドが敗れゴールへと円堂の体ごとゴールに突き刺さった。
その様子を見て狂気的に歓喜の声を上げる不動と、口角を吊り上げる影山が居たのをティアラは見据えていた。彩音はかたかた震え、ティアラの影に隠れるように試合を見つめている。
「ぁ、あ……いやっ……」
「彩音、しっかりして!」
あまりにも真っ青な彩音の顔色に瞳子が流石に危ないと感じたのか、ティアラに寝かせるように指示する。しかし、恐怖から中々寝つけることの出来ない彩音は最早手の施しようが無い。ティアラは彩音を抱き締めるように視界をすっぽりと覆い隠し、出来るだけ試合を見せないようにする。がくり、と膝をついて息を荒くしている佐久間を哀れだと感じたティアラは祖父である影山が居るであろう場所を睨みつけ、再び試合に目を移す。
「佐久間……お前、何故……!」
「っふ……見たか鬼道、俺の皇帝ペンギン1号……!」
「二度と打つな! あれは禁断の技だ!」
悔しげな表情を浮かべる鬼道に、佐久間が息を切らしつつ口角を吊り上げて笑う。禁断の技だと聞いた瞬間、雷門イレブンがハッとした表情を浮かべた。
「——もう、やめてっ……」
悲痛な叫び声を漏らす彩音を見て、ティアラは悔しげに唇を噛み締めた。
( 守りたいのに、守れない )
*
【 ヘブンズガーデン/亜美、ラティア 】
「今年は遅かったな、亜美」
「ごめんね。ジェネシス計画が発動しちゃって、さ」
多少不機嫌そうに言葉を紡ぐセインに、亜美が申し訳なさそうに眉を下げて見せる。セインはちらりとラティアに視線を移すもすぐに亜美へと視線を直し、何やら話しあいを始めてしまう。
入りこめる雰囲気では無かったので、ラティアは他の天使の血を継ぐ者に案内されるがままに何かしらの建物に入り、部屋に通される。此処は亜美の部屋なのだと言う。整頓された部屋は質素で、彼女らしい明るい雰囲気は無い。あまり使われていない様子もちらほらと伺える。
「ねえ、聞いても良いかしら?」
「ええ、構わないわよ」
「……亜美とセイン、だったかしら? その関係ってどういう関係なの?」
久しぶりに質問をした、とラティアは思う。
亜美は親友だから余計に気になるのかもしれないけれど。
ラティアの問いを聞いた天使——ギュエールは、小さく首を傾げてはその整った顔に綺麗な笑みを浮かべた。
「んー、そう聞かれると少し困るんだけど……色々あるのよ。詳しいことは私も知らないわ。でも、形だけで言えば兄妹みたいな、」
「……そう」
亜美の傍にいたのに、全く気がつかなかった。——当たり前、か。亜美は基本、何処かに行く時は一人で行ってしまう。何処に行くかも言わない。
ラティアは深い溜息を吐き、親友の顔の顔を想い浮かべて思わず笑ってしまった。ふと香る花の香りに、ラティアは首を傾げる。窓からのぞけば、花を抱えて笑っている亜美が目に入る。此方にぶんぶんと手を振っている亜美の姿は宛ら何時もの亜美で、——まるで子供みたいだった。ので、思わずラティアは呆れた様な溜息を零した。
「……ラティアも一緒に遊ぼう?」
にっこりと笑む彼女の言葉に釣られてラティアが部屋を出る。後ろでギュエールが微笑を浮かべてそれを見ていることに、気付かなかった。
( それでも、今を大切に思う )
***
真・帝国の話が長ったらしい←
因みに、彩音&ティアラ、亜美&ラティアのお話は1話に別々に乗せることにします、b
セインと亜美の関係を考え中、((