二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

燃やしてあげるよ ( No.43 )
日時: 2011/07/21 20:54
名前: ゆう ◆Oq2hcdcEh6 (ID: /HyWNmZ0)


「亜美、」
「あ、ネッパー」

 ひらひら。
 亜美は俺が勝手に自室に入ろうと、気にした様子もなく手を振って此方を見てくる。能天気な奴だ、と小さく呟いてから亜美の座っているソファの隣に腰掛けた。亜美はどうやら絵を描いていたようだ。絵か何かも分からないぐちゃぐちゃとした赤と黒が渦巻く落書きだった、けど。

「……またこんなものを、」

 亜美は少し不思議だ。精神的におかしな部分があるかと思えば、何時もへらへらと笑みを浮かべている。サッカーの実力も、ある。それに、中々俺達とは話しをしないラティアという女性とも仲が良いのだ。亜美はやっぱり、不思議だ。
 亜美は小さくすごいでしょなんて呟いて笑み、再びぐちゃぐちゃとした絵を描き始めた。亜美の赤い瞳が楽しげに輝き、手は色鉛筆の色が付いて赤黒くなっていた。それでも亜美は、気にしない。彼女の黒髪がさらりと揺れる。さら、と髪に触れても亜美は何も言わなかった。集中力だけは、一人前だ。

「ネッパー、」
「、どうした?」
「——すきだよ。ネッパーのそーゆーとこ、」

 人に干渉しないとこ。
 そう言って笑む亜美に苦笑を浮かべ、ふと明日のことを思い返し目を伏せる。亜美が不思議そうに首を傾げてくるので、ぽつぽつと言葉を紡ぐ。

「明日、……俺はもう一度、カオスとして……」
「ねえ、夏彦」

 ネッパー呼びから、本名へと変わる。
 亜美が真っ直ぐに此方を見据えて、冷たげな声音でぽつりと言う。

「ジェネシスには、なれないよ」

 分かってる、と返せば亜美はなら良いんだけどなんて笑む。所詮亜美と俺の関係なんてこんなもんだ。亜美は俺の味方もしなければグランの味方もしない。誰にでもずばずばと物を良い、不可能なことはきっぱり否定するのだ。

「……負けないでね、」

 小さく笑う彼女に、俺は思わず頷いた。


( 何も、かも )





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ネッパー大好きだ!←
亜美其処代われ^p^