二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

さようならを告げないで、 ( No.48 )
日時: 2011/07/22 18:41
名前: ゆう ◆Oq2hcdcEh6 (ID: /HyWNmZ0)


「……、ックソ!」
「は、るや」

 荒々しく壁に拳をぶつける彼はあたしの知る彼じゃ無くて。
 あたしは彼がどれだけ苦労したのか知ってる。彼は、ガイアに負けても何度でも勝負を挑みに行っていた。ダイヤモンドダストとも、何度も何度も勝負をした。ガイアは強いとあたしも思うけれど、あまりにも可哀相だった。
 全部、お父様の為なのに。お父様本人は想いに気付いていてなお、ガイアをジェネシスに選ぶ。負けた者はばさりと切り捨てる。弱肉強食の世界だった。ねえ、お父様——お父様は一体、何を考えているの?

「……んで、……何でだよっ……!!」
「晴矢っ、」

 悲痛に叫び、あたしを睨んでくる晴矢。そんなかお、して欲しくないのに。晴矢はぎり、と唇を噛み締め此方をキッと睨んでくる。ねえ、晴矢、ジェネシスの称号なんて要らないよ、あたしが、傍にいる、晴矢は強いんだもん、ジェネシスにならなくても——、
 言葉を紡ぎかける唇が、不意に塞がれる。

「テメエには分からねェよ! 俺たちの苦労なんてなァ!」
「——ごめっ、」

 ばたん。と、不吉な音を立てるドアを睨みつけた。


( ずっと、一緒だと約束したのに )


*


「良かったのかい?」
「何のことだ、」

 彩音のことだよ。
 ふふ、と小さく笑みを浮かべるガゼルは、何処となく上機嫌にも見えた。ガイアがジェネシスに選ばれたっていうのに、こんなモンかよ。テメエにとってのお父様の存在って、何なんだよ。
 まるで俺の考えていることが分かるかのように、ガゼルは言葉を紡ぎだす。ヒロトほどでは無いといえ、白い肌が青い光に照らされ整った顔がくすりと黒く笑う。

「……お父様より大切なものは、すぐそばにあるじゃないか」

 ぽつり、とすれ違う直前にそう耳元で呟かれ俺は理解した。嗚呼、俺は、


( ずっと、一緒だって約束したんだ )





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