二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

 [009] ( No.70 )
日時: 2011/08/21 18:11
名前: ゆう ◆Oq2hcdcEh6 (ID: PdhEocoh)


「——ッ、」

 ずきり、と頭が痛む。あたし、さっき亜美ちゃんに——?
 辺りを見回せば其処に広がる景色はあたしの知らないもの。聞きなれない地域の言葉。微かに香るのは潮の匂い。ハッとして立ち上がれば、ピンク色が視界に入る。

「お、やあっと起きたか」

 にかっと綺麗に笑う男の人。何処か円堂君に似てるんだけど、何処か違う雰囲気のその人に思わず首を傾げてしまう。誰ですか、という前にその人を制した人が居た。

「こら、綱海。、すまない、綱海が。ええと、君は?」
「え、あ、……不動彩音、です」

 その人は小さく笑って、「俺は音村楽也」と名乗った。次いで、先程あたしの顔を覗き込んでいたピンク色の髪をした人が綱海条介と名乗る。聞いたことが無い。次いで、可愛らしい貝殻を被った女の子ははにかんだ。

「あの、ちょっといいですか?」
「、うん」

 こくんと頷けば気になっている様子の他の人に女の子同士のこと、と言ってその子はあたしを引っ張る。別に怪しい部分も、まさかエイリア学園というわけじゃないということも結構理解はできたのでその子に素直に着いていき、先程の所から数メートル離れた場所でこっそりと尋ねてきた。

「……さっき貴女を連れてきた黒髪で——赤目の人って、もしかして、亜美という名前?」
「、何でそれを、」
「あのね、今日の夜、灯台に行ってみて」

 わけが分からぬまま、それでもこくりと首を縦に振った。灯台か……。それにしても、何でこの子は亜美ちゃんのことを知っているんだろう。名前を聞いてないことを漸く思いだし尋ねると、どうやらこの子はキャンちゃんというらしい。

「、じゃあお願い、彩音ちゃん」

 にっこりと綺麗に笑われればそうするしかなくなる。それにしても、何で亜美ちゃんは此処に——? 未だここが何処か分からぬまま、あたしは取り敢えず音村さんにお世話になることに決まった。

「あの、此処って……」
「ああ、沖縄だよ」

 え、と呆然とするあたしに音村さんはくすくすと小さく笑った。はあ、円堂君はまだ来ないのかなあ……。キャラバンのことを思い出し溜息を吐く。亜美ちゃんは一体あたしに何をしたんだろう。疑問だけが残った。





***
暫く彩音のターン←