二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- [010] ( No.73 )
- 日時: 2011/08/22 11:19
- 名前: ゆう ◆Oq2hcdcEh6 (ID: PdhEocoh)
- 参照: 参照300\(^q^)/
(はぁ……来ちゃった、けど、)
音村さんには断りを入れて、灯台に来てみた、が。
——誰も居ない。しん、と静まった其処にずっと居るのは正直に言えばとても嫌だった。が、キィというドアの開く音にあたしは気付いて慌てて声を掛ける。
「、あの、」
「彩音!?」
切羽詰まったそんな声に、あたしは聞き覚えがあった。——豪炎寺、くん? やがて姿を現したその人は、あたしの見覚えのある大切な仲間。ついこの間まで一緒にキャラバンに居た仲間。豪炎寺くんは驚いたように此方を見詰め、やがて穏やかに笑みを浮かべた。豪炎寺くんがあたしを促す。此方に来いということだろうか。
「……亜美のこと、聞いた」
「、うん」
「あいつが来たんだよ。——お前を攫ったって」
嘘だ。亜美ちゃんが自らどうして豪炎寺くんに言いに来るんだろう。豪炎寺くんは何処か辛い表情を浮かべながらもぽつぽつと言葉を紡ぐ。
「どう、して?」
「——彩音を宜しく、って言ってたんだ」
何で? さらったのに、どうしてそんな台詞が吐けるの? 疑問でいっぱいいっぱいになった頭を回転させ、どうにか思い出そうと必死で唸る。でも、攫われたときのことは何も覚えてない。何かされた形跡もないし——。
「亜美はね、キャラバンの連中からお前を離すために攫ったんだよ」
「、ぇ?」
不意に声が聞こえた。目の前には、黒い髪を流し紫の綺麗な目をした女の子が立っている。豪炎寺くんは少し身構えている様子だ。女の子は冷めた瞳をしたまま言葉を紡ぐ。
「今思えば、下らない独占欲さ」
「——誰?」
名前を尋ねても、女の子は淡々と言葉を発するだけで名乗ろうとはしない。最早女の子の名前は諦め、あたしはただその言葉を聞きとろうと必死だった。でも、よく分からない。亜美ちゃんは一体何をしたのか——いまだに頭の中を回るのは疑問。
「、亜美は——お前を大事にしている。大切な幼馴染、いや、親友だからね。でも、キャラバンの連中に嫌われている、というよりは裏切り者として思われている亜美はお前が自分を嫌わないように攫ったのさ。とっても下らない独占欲だね」
——嫌うわけがないのに。
「まあ、今亜美の元には亜美を大切に想い、信じている連中が集まっている。お前が思っているより、香奈の死はどうやら亜美の心を抉り傷つけたようだ。——救えるのは、誰だろうね」
「あ、なた、誰なの?」
「——————彩音、覚えておきなさい。救えるのは貴女だけ。亜美を知る、ね」
女の子は薄らと綺麗に笑み、消えていった。いや、闇に溶け込んでいったという方が正しいかもしれない。隣に居る豪炎寺くんがはっとしたような表情を浮かべている。
どうしたのか尋ねる前に豪炎寺くんはあたしの頭に手を置いて小さく、悲しげに笑った。意味が分からないよ?
「——亜美を最もよく知る人物だ。勿論お前も知っている」
——嗚呼、もしかして。
香奈ちゃんはまだ、——生きてるんじゃないか。
( 不意に現れる影 )
*
はい、もう誰なのか予想はつきましたよn(((
展開早いとか言わないの!
暫くは彩音のターンですw