二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 光陰リフレクト『イナイレ短編集』リク募集中! ( No.17 )
- 日時: 2011/08/13 09:39
- 名前: 紗夜 (ID: 32zLlHLc)
- 参照: ボカロ曲「リンネ」をイナズマキャラとオリキャラで
病み 鬼道×氷歌
※解釈はあくまで私のしたものです。皆さまのイメージと違うことはあると思いますが、それぞれのイメージは違うものなのでそれを分かった上でお読みください。
※グロ表現があると思います。
※氷歌と鬼道さんがいつもと違います。
『リンネ』 「見えないと泣いて泣いて」
何処だろう。ここは。
もう、考えるのも疲れて、ただただ電車に乗り、歩いていた私は辺境の地まで来てしまったらしい。見覚えのない場所。私はただそこに佇んでいた。
あの人への感情は、少しずつ、愛から何かへ変わりつつあった。その何かがなんのか、それは私には分からなかった。ただ、間違いなく愛ではない、それだけが分かった。それしか分からなかった。愛を通り越したのか、愛からなり下がったのかもわからない、おかしな感情だ。
あの人が知らない、私の秘密はもうない。蝉が夏の終わりに静かに死んでいくように、その秘密もしんでいったから。もう、私が抱えていたものはない。
もう、疲れた。
私も蝉のように死んでしまおうか。
辺境の地の廃ビル。立ち入り禁止の看板。そんなもの気にしてどうするの。その看板を思い切り蹴り飛ばし、その場に入った。
もう、疲れたんだよ。何もかも一人で背負ってたんだから。もういいでしょう?休んだっていいでしょう?
廃ビルに入ろうとした瞬間、あの人への思いが込み上げてきた。
やっと分かった。あの人への思いの正体が。
あの人に会いにいかなければ。
この気持ちを持ったまま、死んだりできない。
この気持ちをあの人に……
「……有人。」
小さくそう呟いて、私は歩み出した。
「今日は楽しかった!ありがとう!またね!!」
楽しそうな声が聞こえる。女性の声だ。今日はそんなに楽しかったの?そう聞いてやりたくなる。
「あぁ。またな。」
聞きたかった声が聞こえた。あの人の声。優しい声、優しい顔。そこにいるのは紛れもなく、私の愛していた人だった。何も変わっていない。優しいところも、そうやって、笑うところも。
女性が電車に乗り込むのを見てから、私はあの人に歩み寄った。
「有人。」
そう言ってやった。あの頃と同じように。優しい声で。
「……氷……歌?」