二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 光陰リフレクト『イナイレ短編集』リク募集中! ( No.18 )
- 日時: 2011/08/13 09:42
- 名前: 紗夜 (ID: 32zLlHLc)
病み 鬼道×氷歌
※解釈はあくまで私のしたものです。皆さまのイメージと違うことはあると思いますが、それぞれのイメージは違うものなのでそれを分かった上でお読みください。
※グロ表現があると思います。
※氷歌と鬼道さんがいつもと違います。
『リンネ』 「愛は憎しみに」
「おまえ……ど、うして……」
赤い目を丸くしてそう言うあの人を私はじっと、笑顔で見つめ続ける。昔と同じように笑顔で。
「私はあなたの彼女でしょ?そばにいちゃいけないの?」
笑顔のままそう聞いてみる。彼はいけなくないなと焦りながらそう言った。焦る理由は、先ほど電車に乗り込んだ彼女に見られていないかというもが原因だ。
しきりに電車の方を見る彼。彼が見ている先には席に座ったさっきの女がいた。その女は私の方をじっと見ていた。そして急に立ち上がり、一番近い入り口へと向かっていく。
でも、もう遅い。電車の入り口はすでに閉まっている。もうこっちに、ホームに来るのは不可能。
そう思っていると電車が発車した。
バイバイ。
私は笑顔で入り口につけられた窓から私の方を見る彼女に手を降った。
「誰?あの人。」
私は電車が消え去った方を見たまま、そう問う。彼はかなり焦っている様子で、答えが返ってくるまで沈黙が流れた。
ホームにいるのは彼と私だけ。他に人などいなかった。もともと、あまり使う人が少ない駅なのだろう。
「と、もだち…だ。」
「ふぅん。にしては仲良さそうだったね。あの人も私の方を見てたよ?憎々しい目でさ。」
間髪いれずにそう返した。
私が何か言うたびに苦しそうな顔をする彼をじっと見詰めながら。
「ねえ。何処に行ってたの?楽しかった?」
「……」
何も言わない彼。下を見たままこっちをも見ようともしない。
「……どうしたの?有人。」
「すまない。用があるんだ、帰る。」
そう言ってすぐに振り返り、階段に向かって歩いていく彼。
「……っ…、待ってよっっ!!!!」
ビクンと肩を揺らして彼が歩みを止めた。さっきまでおとなしかった私が大きな声を出したせいだろう。今までこんな声を出したことは自分でもあまり覚えが無いくらいだからね。
「……氷歌?」
私は駆けだし、止まっている彼の手を思い切り引いた。バランスを崩した彼は近くにあったベンチに腰を下ろす。私は握った手を離さなかった。
「おまえ、ホントにどうしたんだ、おかしいぞさっきから。」
おかしい?おかしいのはあなたの方じゃない。私を捨てておいて私が現れた途端、心配するようなこと言って。そう言う優しいところがあるから嫌いになりきれないんだよ。まだ少しだけ好きなんだよ。
でも、きっとあなたはもう、私を見てはいないんだよね。今こうやって優しくしてくれてるのはただ機嫌を取るためなんだよね。分かってるよ。もうあなたの心はあの女のところに行ってるんだってことくらい。
でもね。私まだあなたのこと信じたいの。だからお願い。もう一度だけあなたに聞くから。あなたがこの質問に、私が望む答えを返してくれたらあなたを許すよ。私と一緒に来てくれるなら、あなたを信じるよ。
お願い。ちゃんと答えて。
「……ねえ、有人。あなた、私の事愛してる?」
「え?」
「まだ、私の事愛してくれてるよね?ね?」
私の手が有人の手から離れる。私の意志で離したのだ。
そしてその手は無意識のうちに彼の首へと動いていった。そんなことしようとんな手していないのに、手が勝手に動いてしまう。
でも私はそんなこと気にしてなどいられなかった。私の頭は彼にしてほしい返事でいっぱいだった。そう、私はただ、彼に「愛してるよ今もまだ」と言ってほしかったんだ。ただ、それだけだったんだ。
そう言ってくれればいいのに。なのに彼の返事は私の望み通りのものではなかった。
「……愛してたよ。」
「愛してた」
過去形だ。彼は、今の話をしようとはしなかったのだ。彼は、昔は私のことを愛していたと、自らの口から言ったのだ。じゃあ今は?そんなこと聞かなくても分かる。今も愛しているのなら、「愛してる」と言えばいい。なのに言葉を選び、「愛してた」と言ったのだ。
そう。
あなたはもう、私を思ってはいないんだね。
だったらもういい。今思っていないなら、あなたを許そうとは思っていないから。
逃がさないよ。他の人のものになってしまうのなら。
私がこの手で———————
私は彼の首を
思い切り
掴んだ
力一杯
握りつぶしてしまうそうなほど
強く強く強く強く強く強く強く強く
私の愛を、すべて、力に変えるようにして