二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

稲妻×復活-グラウンドの中心で大空に向かって叫ぶ-アンケ実施 ( No.32 )
日時: 2011/08/13 21:47
名前: 美津子 (ID: 278bD7xE)

もしも未来編の未来がGOなら(鬼道夢?)


「鬼道は自由に生きれば良いんじゃない?」


イタリアにある喫茶店の一角。一人の女性が鬼道と呼んだ男に言葉をかける。
その言葉にかつて平和だった時代を思い出し、鬼道はふっと笑う。彼女は見た目も雰囲気も変わったが根は変わっていない。
もし変わったとすれば……。


「千代、そういうはお前自由に生きたいと思わないのか?」


鬼道は千代と呼んだ女性の姿を見てそう尋ねる。かつてのような性格とはちょっとかけ離れた柔らかい女の子らしい私服は着ず、いつもスーツを身にまとっている。
指にはめている赤い石の付いた指輪や携帯で話す言葉も全て彼女が背負っている不自由で思い運命を思わせる。
まだまだ若いのにそれで良いのか?鬼道は千代にそう問いかける。


「そんな事言ったら、ツナやその友達も似たようなものだし。私は仲間を守りたい」
「そうか……」


少し大きめの茶色い瞳に映る覚悟。その覚悟に鬼道は何も言えない。
彼女はもう全て決めてしまい、自分の言葉はもう耳に入れない。例えそれで自分がどうなろうと構わないのだろう。


「これさえ成功すれば、全てが解決する。世界は平和になるし、日本中学のサッカーも変わる。フィフスセクターも弱まる」
「だからと言って……」
「大丈夫だから」


顔を輝かせ、もしもの未来に期待を寄せる千代。決してその表情には失敗するという予想は無いようだ。
しかし、鬼道にはその顔こそが妙な予感を思わせ何とかして考え直すよう食い下がる。
どうにも嫌な予感が収まらないのだ。まるで千代がこのまま死んでしまうような気がしてならなかった。
だけどそれでも千代はただ笑って大丈夫という前向きな姿勢を壊さない。円堂とは違った意味でしたたかで前向きな姿に彼女の変わらなさを思う。


「それじゃあ、一月後にトマト祭りでもしようよ」
「……トマト祭りをどこでやるつもりだ?時期が違うぞ」
「私達の力を使えば……」
「止めろ」
「冗談だってのに……」


いやいや、今の顔は本気だったぞ。いつの間にかボケもかますようになった千代に突っ込みを入れながら彼女と別れる。
妙な嫌な予感を抱えつつも千代の笑顔に彼女を信じようと思いながら。だが、それは一ヵ月後あまりにも悲惨な事実と共に打ち砕かれる。


「意味無かったではないか、千代……。だから言ったというのに」


顔を俯かせ、悲しみと怒りをにじませた言葉を吐きだす鬼道。握りしめているのは中学校時代のサッカー部の写真でそこにはいつものように円堂達に突っ込みを入れている彼女がいた。
もうこんな姿は一生見れないと思うと悔しくて仕方ない。鬼道はただただ嫌な予感が的中した事を悔い、悲しみと怒りを押し殺すしか出来ない。
一カ月経とうと彼女から連絡は来ず。ようやく来たのは彼女と彼女の弟の死の知らせ。
簡素に死を伝えられ、その上誰にも伝えるなと書かれた文面に何を思ったのか?それは鬼道以外には分からない。


「思いだけでは通用しない」


最強と言われ、彼女なら何とかしてくれると思っていた沢田千代は死んだ。彼しか知らない事実は彼の考えを大きく変えた。
サッカーを変える為にはただ単純に対抗するだけでは通用しない。だからオレは……。


後書き
意味の分からない番外編ですみません。