二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

私だけを見て欲しいの、 ( No.6 )
日時: 2011/07/15 18:45
名前: ゆう ◆Oq2hcdcEh6 (ID: kVdvMbwW)

「おはよー、風丸くん」
「……お早う、亜美」

 ひらひらと手を振った先の水色に自然と頬が綻ぶ。
 彼は仏頂面だったけど、些細なことで心臓がどきどきと五月蠅くなる。あ、と彼が思い出したように、資料を運ぶのを手伝ってと言ってくる。うん良いよと二つ返事で頷いた。

「……そんなに持てるわけないだろ、」

 はぁ、と溜息を吐いた彼が呆れたように貸せと手を差し出してくる。
 良いのかなあなんて思いつつ遠慮せずに資料の半分を乗せてみた。ら、怒られた。へらりと笑うと、眉を寄せられた。そんな顔しないでよ。

「、彩音!」
「一郎太ー、亜美ちゃーん、……あ、そういうことね」
「誤解するな。資料運びを手伝って貰ってただけだ」

 風丸くんの頬が、綻ぶ。
 いっつもそうだ。こんなに想っていても、風丸くんは彩音ちゃんしか見てない。私と居る時より、彩音ちゃんと居る時の方がよく笑う。
 ——狡い。

「……亜美?」
「か、ぜまるくん、……は、」
「亜美ちゃん?」
「……何でもないっ、」

 彩音ちゃんの彼氏なの? 彩音ちゃんが好きなの? 私が嫌い?
 ——飲み込もうとした言葉が、喉に張り付いた。

「さ、早く運ぼう!」

 私は笑顔を浮かべてみた、


( 一度飲み下した言葉が逆流しないうちに、 )