二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

漆黒のラプンツェル  ( No.14 )
日時: 2011/07/25 11:49
名前: ゆう ◆Oq2hcdcEh6 (ID: tQGVa0No)
参照: 海外制覇企画ー、


「——らぷんちぇる!」
「違う違う、ツェル、よ」
「ちぇ……ちゅ……チェル!」

 ラプンツェル。
 昔、憧れた髪長姫。よくラプンツェルになりたいだのなんだの言って、髪を腰まで伸ばしたりもしていた。しかし、気が付けばその存在はとうの昔に忘れ去り、中学校に進学する頃には髪をばっさり切って、気が付けば姫とは言い難い性格になっていた。

「亜美ちゃんって、男らしいよね」
「っていうか、クールな時だけだけど格好良い性格だよね」
「お姫様とか向いてない、王子様のが会ってるかも」

 エトセトラ、エトセトラ。
 最早お姫様にはなれない存在を化して居た。確かにそれが悔しいときもあったが——お姫様にピッタリな少女、彩音を見つけてからは自身も特に気にすることは無くなっていった。心の底からお姫様じゃなくても良くなって。
 母親によく聞かされた髪長姫のお話は胸の内に仕舞われたまま、記憶の底から出てくることは二度と無かったのだ。しかし、ライオコットでのとある出来事より、その記憶は甦ることになる。

「……アミ、小さい頃は髪長かったのにね」

 ふと自身の親友こと、ロココにそう言われ首を傾げる。はて、ロココとは小さな頃に会ったことが合っただろうか。なんて首を傾げていると大介が補足のように「写真を見せたことがある」なんて何時もの飄々とした態度で言ってくる。
 何時の間に、とは思ったけれどそれを上回る恥ずかしさ。頬に熱が集まり、上気するのが分かる。大介の馬鹿なんて呟いても大介は気にした様子を一切見せずケラケラ笑うだけだ。円堂くんがこういう人をからかう部分を受け継がなくて良かった。
 さら、とロココの褐色で長い指が私の髪に触れ、そのまま指で梳かれた。目を細めつつ、此方をじっと見ているゴーシュとウィンディにひらりと手を振ってみた。何でそんなジト目してんのさ、怖い、怖いってば。ふ、とロココを見上げてみるとロココもジト目で睨み返していた。おい、仲間だろ。

「アミ、伸ばせば?」
「そうだよ、伸ばした方が絶対可愛いって! お姫様みたいでさ!」
「お姫様……っていうかフィディオ、アンタ何処から」
「アミーッ!!」
「ぐぇ……ディラン、死ぬ、ストップ!」

 気が付けば私の周りにはてんやわんやと人間が集まっていた。どうせなら可愛い女の子に囲まれたい寧ろエイリアの女の子全員に囲まれたい。ふざけた思考を見抜いたかのように誰かにデコピンされた。おい、やったの誰だ。流星ブレード打つぞ。ヒロトが。っていうかディラン退け、暑い、潰れる。

「ディラン、退いてやれ。アミが死に掛けてる」

 ぐぬぬと唸っているとマークがやっとディランを退かしてくれた。恩にきります、マーク。と、騒がしくなってきたコトアールエリア。大介は何時の間にか消えていた。逃げたなアイツ。ロココはくすくすと楽しげに笑んでいるだけだ。

「で、何の話だっけ」
「髪の話」

 ボケたの? なんてカラカラ笑うフィディオと取り敢えず沈めてから取り敢えず離れろと命令口調で言ってみる。大人しく離れて行った海外組。そのままどっか行けば良いのn……失礼、本音が。
 コトアールの人に迷惑だなあ、なんて頭の片隅で考える。美形に囲まれるのは嬉しいが生憎私の好みは居ない。好みの子は皆日本に居るから、だ。(だってジャパンに居ないんだもん。ネオジャパンに居るけどね)

「……ああ、そうだった。これ、」
「髪留め?」
「前髪、長いだろ。邪魔かと思って買ったんだ」

 ほら、と渡された紙袋の中身は髪留めだった。マークが照れたように小さくはにかむ。有難う、と(海外組で一番マシな)マークに笑みを浮かべ礼を述べてそれを有り難く持参したバッグに仕舞う。フィディオがジトまたかでマークを睨んでいたのは言うまでもない、というか言いたくない。今度そんな目で睨んだ奴殺す、とは言わないけれど。

「……髪長姫になりたい、」
「ラプンツェル、か?」
「うん、……昔そう思ってた」





**
俺得←
ラプンツェルっていう映画あったよねつい最近((
因みに作成中、いちほ*