二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

護りたいものと戻れない過去 ( No.51 )
日時: 2011/08/01 18:14
名前: ゆう ◆Oq2hcdcEh6 (ID: uUVs9zNY)


「——兄さん、」

 ぽつぽつと言葉を紡ぐ。オレの所為で、オレの不注意で。
 兄さんの足はきっと治る。頭の片隅ではしっかりわかってる。もう二度とサッカーなんて出来ないこと位。それでも、オレは兄さんの足が治ると信じてフィフスセクターに協力する。そうすれば兄さんは手術出来るし、サッカーも出来る。

「やっぱり動かない、か」
「……剣城にもお兄ちゃんが居たんだね」
「京介、何も言ってないんですか?」
「うん。というか、……んー、まあこれは良いや」

 オレの好きな兄さん。兄さんは今日、オレが大っ嫌いな女と一緒にいた。亜美、という奴だ。兄さんは何処か楽しげで優しげな瞳をしていて。まるでオレに向ける表情と同じ穏やかなさだった。久しぶりに見た兄さんのそんな顔。オレ自身の性格もあるが、兄さんがまさかあの女にそんな顔をするとは思っても無かった。

「……ンだよ、」


( 最早この手に収められる人はいない )