二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- そして今日も少年は、 ( No.87 )
- 日時: 2011/08/14 11:36
- 名前: ゆう ◆Oq2hcdcEh6 (ID: NXpyFAIT)
「——、ごめ、ちょい抜けるね」
ひらり。
視界の片隅に彼女の手が写る。年相応の大きくも小さくも無いそんな手がひらひら振られ、思わずそれを目で追った。何時しか、屋上で集まって昼食を摂るのが当たり前になっていた。
「何か一気に静まり返ったな」
誰かがそうぼやく。その通りだ、とオレは思う。まあオレにはなんの関係も無いんだけどね。基本、テンションの上がらないこのメンバーの中の唯一のムードメーカーは彼女だから、オレ達は彼女が居なくなった途端静まり返る。話すことと言えば次の戦争だの何だの。
それを彼女は酷く嫌う。戦争をよく思ってないから、だ。それはそれで可愛らしいとオレは思うけど、でも。
「、誰だ」
ばたん、と屋上の扉が開かれる。何時ものふんわりとした天然パーマの髪は伺えず、居るのは緩いウェーブのかかった黒髪。赤い瞳はあいつと酷似していた。オレの苦手なあいつに。でも、あいつは居るはずがなくて。へらりと笑みを刻んだその女子生徒はつかつかと此方に歩み寄っては口を開いた。
「————私のこと、忘れちゃったの?」
目を見開いたのは、オレだけじゃなかった。
その場に居る全員が呆然とした様子でぼんやりと彼女を見詰めたまま、離さない。酷似しているとは思っていたけれど、そんな、でも。居るはずのない彼女に、酷く安堵を覚えた。
「、ただーいまっ」
ふわり。笑みを浮かべたその女子生徒は、小さくおどけた。それがまたあいつだということを示していて、思わず顔を見合わせたオレ達は全員でそれぞれの言葉を紡ぎ出した。
「遅い」
「そのまま帰ってこなきゃ良かったのに」
「……お、帰り、」
上からバダップ、オレ、エスカ。っていうかエスカだけ真面目。そんな様子にくすくすと笑みを零した彼女——亜美は、くるりと一回転して首を傾げた。
「要らないんだ、君達のこと」
——彼女がそんなこと言うわけないのに。
彼女が提督の仕込んだ立体映像か何かであることは、オレもほかの奴も薄々と感づいていた。それでいて、何も言わなかった。亜美は屋上のフェンスに上り、小さく笑う。
「、亜美、」
「……ごめんね。ごめん」
最後の謝罪だけはきっと亜美の本心だったと思う。ぐらりと傾いたからだ。可哀相、よりも何故か哀しかった。提督はきっと、サッカーの所為で弱体化したということを知らしめるためにこうしたんだとは思う。提督には逆らえないし、だから、
「……サッカーを潰す」
ぽつり、とバダップがそう呟いた言葉に、オレは頷いた。
「何してるのー?」
今頃のように開けられた屋上の扉。其処に立つ姿、——彩音を見て笑みを広げる。何でもない、と嘘を吐くオレ達はきっと最低で、滑稽で、哀れなんだと思う。それでも嘘吐きがやめられないのはきっと、彼女が居るからなんだろう。
( 嘘を吐く )
***
意味不明になった。
補足で言えば、サッカーの所為による弱体化で亜美が死んじゃって提督がそれを立体映像で蘇らせて亜美が好きというより仲間として大切に思うミストレ達にサッカーへの憎悪を募らせようという感じの←
この話はあれだ、彩音ちゃんが愛されてるんだよ((