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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 繋げていた糸を、ぷつり ( No.97 )
- 日時: 2011/08/25 17:11
- 名前: ゆう ◆Oq2hcdcEh6 (ID: PdhEocoh)
「——円堂君、別れましょう」
「、え?」
にこり。
綺麗な笑みを浮かべて、目の前の夏未は惨酷な言葉を言い放った。でも、その笑みが、何処か痛々しげで、俺は何も言えなくて、それで。
頷くことにも躊躇ったけど、それでも夏未は真っ直ぐに此方を見るだけで発言を撤回してはくれなさそうで。
「円堂君、木野さんのこと、好きでしょう?」
嗚呼、そうだ。
——俺、秋のこと、好きだった。今好きかどうか聞かれると、答えることはできない。大好きというわけでも、その前に、俺と夏未は結婚してて。幸せそうな夏未が何時も見えてたのに、何でいきなり、
「……ああ、好きだよ」
ずきん。痛みを訴える心。俺は、夏未の目の前で嘘を吐いた。傷付いた表情をする夏未に、やけに苦しさを感じた。息が詰まる。
なあ、でも、言ってきたのはお前だろ? なんでそんな悲しそうな顔してんだよ。やめてくれとは言えなくて。お前がそんな表情をするたびに、俺、苦しくて。でもそれを言えないのはきっと、何処かで木野を想ってるから。
「、分かったよ」
ぽん、と軽く夏未の頭を撫でた時、夏未の頬に雫が伝った。見ないふりをして、俺は其処から立ち去る。
「、これで良かったの?」
「これで良かったのか?」
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