二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン エイリア学園ウィンドレス  ( No.105 )
日時: 2011/10/27 09:56
名前: アラン (ID: zGIWZsqg)

「お前さっきどうしたんだよ」

 砂浜に座って海とか、船とかを眺めているというよりかは、それらの物が自然と目に入ってきたから、そのまま見ていたら、バーンが隣に座ってきた。
「んー、なんと言えばいいんだろう。なんか、走馬灯? が流れた」
 ウィンディーが淡々に言うと、バーンは「はぁ?」と顔をしかめて、「なんだよ、それ」と呟く。

 あの後、瞳子姉さんは特になにも言わずに、チームに入れてくれた。円堂達はバーンの攻撃力やジャンプ力にすごいすごいばっかり言っていたけど、ちゃんと自分の事も足が速いと言ってくれた。
 姉さんが無言で自分達を見下ろしている時は、なんとも感じていなかったのに、チーム参入を認めてくれた時は、安堵が胸を溢れた。
 だから、本当に姉さんには感謝しなければ、とウィンディーは思う。

「姉さん、空気読んでくれたな」
 同じ事を思っていたのか、バーンが隣でそう呟いた。ウィンディーはうんと小さく頷くと、空を見上げた。
 雲一つない空は、からりと乾いていて、今の温度をそのまま物語っている。いや、この暑さだから、空が乾いているのか。

 空って、昔の人にとって、大事だったのかなとウィンディーは考えた。
 だから、空色なんて名前を、色でも使う。海色って言わない。でも海色もあるかも知れない。ただ自分が知らないだけで。
 青い空は、果てしなく上の上へと広がっていて、そこには天井など存在していない。今にも、何かが舞い降りそうだ。
 ウィンディーは自分の髪を手に取った。空と同じ色をしている。でも、自分にはふさわしくない気がした。
 何より、自分は空のように大きくは生きていない。ある一つの物だけに囚われているのだ。

「お前さ、今何考えてんの?」
 バーンが遠く水平線を見つめたまま、ウィンディーに聞いた。
「……自分について、考えてた」
 ウィンディーも遠くを見ると、耳に大きなため息の音が届く。
「お前なぁ……そんな無駄な事考えても無駄だよ。早く行って来いよ」
「は?」
 驚いて、バーンの方に向く。バーンは不機嫌そうにこちらを見ていた。
「だから、悩んでも変わらないから無駄だろ? そんな事するより、今のお前は来夢で、普通の中学生の女子だから、そのうちに行って、たくさん話して来いよ」
「どこへ? 誰と?」

「てめぇの兄さんの事に決まってんだろ!!」
 イライラしてバーンが叫ぶと、やっと分かったように、ウィンディーが「おー」と声を上げる。
「ったく……後から後悔しないよう、今する事はしっかりしときな」
「じゃあ、まず瞳子姉さんと話をしなきゃね」
「はぁ? 俺の言ってる事と違うじゃねぇか」
「瞳子姉さんと話をしようか」
 そう言って、ウィンディーは勢い良く立ち上がると、ショートパンツに付いた砂を払う。そして、文句を言うバーンを引っ張り上げると、そのまま海岸を走り始めた。