二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン エイリア学園マスターランク ウィンドレス ( No.17 )
- 日時: 2011/07/16 16:21
- 名前: アラン (ID: zGIWZsqg)
一話 ウィンドレス
「やっぱり前髪がなー」
ミーティングが終わり、薄暗い廊下を歩くウィンディーは大きくため息を吐く。
「まだ言ってるの、それ」
隣を歩くラルズは呆れ顔だ。
「だって、お兄ちゃんとお揃いにしようと思ってたのにさ」
「いつもお兄さんお兄さん言ってるけど、どんな人だったの? 来夢のお兄さんは」
ラルズの質問に、ウィンディーは思わず足を止めて、考え込んだ。
「すごい優しくて、頼りになる人?」
「抽象すぎるわよ、それじゃ。外見はどんな感じなの?」
「そうだなぁ……すごくきれいな顔だったのは覚えてる。お母さん似だった。髪に触るとサラサラで気持ちがよかったな。あ、そうそう、兄妹二人そっくりだって昔近所の人によく言われていたから、私みたいな感じ、かも」
「それって一歩間違えると、自分がすごくきれいな顔立ちで、髪の毛がサラサラに捉えられわよ」
幼馴染が目の前でまた呆れたように、ため息を吐くのを見ながら、ウィンディーは考えた。
自分の兄とは一体どんな人だったのだろう?
さっきラルズの言った通り、抽象的な事ばかり覚えている。好きな食べ物は? 嫌いな食べ物は? 6歳なら、もう少し記憶があってもいいはずだ。
そうだ。兄は走るのが大好きだったのだ。
いつも陸上選手の雑誌を一緒に眺めていた。いつも一緒に公園でかけっこしていた。
自分も将来は、陸上選手になるとあの時笑っていた気がする。本当、自分で言うのもなんだけど、子供だったなと今は思う。まさか今自分が、サッカーしてウチュウジンなんて、あの頃は思ってもいなかった。
「来夢? どうしたの? 行くわよ」
「え、あ、うん」
「何か考え事?」
「うーん、走れるのって、幸せだなって思ってね」
満面の笑顔で、ウィンディーは言った。
走れるだけでも幸せだ。
あの時と比べれば、今は十分幸せ。
友達がいて、幼馴染がいて、仲間がいて、家族もいる。一緒に走ってくれる。
でも、それでもまた彼と走りたいと思ってしまう自分は、我侭なのだろうか?